桜川光

1あなたのすべて

わたしは知らない

あなたのすべてを

わたしは見せない

わたしのすべてを

怖いと思った

すべてを知ってしまうことが

わたしを知られることが

すべてを知ってしまったら

世界は美しくないことが

分かってしまうと思った

汚いもので汚れた

この世界の心を

もう一度

目にするのが怖いと

それなのになぜ

あなたは怯まないのだろう

わたしのすべてを知ることを

わたしが蝶々のように

上へ下へと逃げ惑って

わたし自身を隠しているのに

不意に出てしまったわたしの本性を見ても

どうしてその目の輝きが失われることがないのか

どうしてわたしを

そんな目で見るのだろう

春の花にも似た

そんな目で

まるで蝶々が花へと飛ぶように

知らず知らずのうちに

わたしはあなたに近寄ってしまう

知りたいと

思ってしまった

どんなに世界が美しくないと分かってもいいから

あなたの全てを知りたいと

願ってしまった

わたしのすべてを知ってほしいと

願ってしまった

知りたいと思ってしまったの

あなたの心を

あなた自身を

あなたのすべてを

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