8-3 トラ子

 準決勝の対戦相手は辺境のシルフ、まったくの無名なのに師匠はコイツに注目していた。俺もコイツの試合を見て驚いた。ネコの型を完全に使いこなしていやがる。おそらく、うちの師匠よりもうまい。

 2試合とも開始直後の重力は0.1G未満。完璧な芯ができているのが見るからにわかる。ウマ野郎相手に正面切って蹴りこむのは理解不能だけど、あの蹴りは質量さえあれば俺でも耐えられないだろう。

 俺はそんなシルフとの対戦を心待ちにしていた。しかし、シルフの野郎、ん? 野郎なのか? いいや、シルフのやつは事もあろうにギブアップするとぬかしやがった。俺の純情な気持ちをもてあそびやがって。許せねえ。

 怒りに任せてトラの型を使ってしまった。決勝戦までとっておきたかったのに。まあ、見せてしまったからにはこの試合は勝つしかない。

 本能に任せて動いた身体はわざわざ遠い喉を狙ってしまったためか避けられる。こっちは四肢を使っての移動なのにあいつはバックステップで俺の攻撃をのらりくらりと躱しやがる。なんて身のこなしだ。やっぱりネコをかぶってるのかコイツは。

 壁際に追い込んだ。もうあとはないぞ。

 おいおいおい、まじかコイツ。俺にビビッて目に涙を浮かべてやがる。試合中だぞ。冗談だろ。


 というか、かわいそうになって殴れない。殴れないどころかあいつの泣き顔を見てると俺の母性本能がキュンキュンしちゃって戦意を喪失しちまう。今すぐ抱きしめてやりたい。クソっ。


 深呼吸が必要なのは俺の方だ。スー、ハー。アイツは敵。この試合に勝つのは俺。よし、切り替え完了。

 シルフの方も切り替えができたようだな。目つきが変わってる。もう怯えは感じられない。きっと俺を楽しませてくれるだろう。

「よし。覚悟が決まったな。それじゃあ本気で来いよ。」








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なかがき


このエピソード、文字数が少なくて毎日読んでくれてる方に対して申し訳ないなーと思ったので、唐突ですが『なかがき』なぞ書いてみます。『なかがき』とは『まえがき』や『あとがき』の類であります。


まず初めに、このエピソードまで読んでいただきありがとうございます。

本作、「星間の妖精エルフ」は初めて書いたの小説でして、言い訳をするつもりはありせんがそれゆえに誤字や読みにくい点といった至らぬ点が多々あり大変恐縮です。謝るなら直せって? はい、全くもってその通りでございます。折を見て修正いたします。

こんな謝罪を書かれても面白くないですよね。せっかくなので初出の情報でも開示しようと思います。

聞かれればいくらでも喜んで語りたいところですが、悲しいかなリアクションがございませんので沈黙を貫いているという状態です。シャイなので自分から絡みに行かないのでそうなるのもしょうがないんですけど。気になる部分がございましたら遠慮なくコメントやX(@tk7_sf)にて絡んでいただければ幸いです。


早速脱線してしまいました。軌道修正します。

この小説はハードSF風ライトノベルなるジャンルを目指しておりまして、SFらしい整合性が取れるようにちょっとした計算式なんかはスプレッドシートつくったりなんかしてます。誰も検証なんかせんやろーという甘えの上に成り立っております。これ計算あってないよーなんてツッコミいただけたら嬉しくてどうにかなっちゃいます。


物語自体は基本的にはノリと勢いで書いててプロットも作ってないんですよね。逆にプロット作るとそれで満足しちゃって執筆できないのです。

それゆえに複数の登場人物とか複雑な伏線や関係などは描いてない(描けない)ので読者様のワーキングメモリにもすんなり収まるんじゃないかと考えております。はい、甘えです。甘えさせてください。この作品は読者様の優しさで成り立っております。



作中で不親切かなーと思ったことを補足します。「5-4AI同士の戦い、その顛末」のリンクスとピーコックの共通点は蜘蛛の種類です。蜘蛛の中にはバルーニングといって、糸を出して風に乗って遠くに飛んでいくことでその分布を広げる種類がいます。新しい島に最初にやってくるのは蜘蛛だったりすることもあるそうです。それにあやかって宇宙船の名前にしたってわけです。

そんなのより「3-2 Reconfiguration」がよくわからないって? はい、すみません、ノッてきたら止められませんでした。コンピュータが自身のことを思考するのにコンピュータ用語を使うんじゃないかという想像というか表現であって、ぶっちゃけ用語の厳密な意味とは一致していないので雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。


ちなみに、ちょうどいまやってるゼロGカラテなんかも思い付きで始めました。やたらネコをテーマにしてるのも趣味です。深い意味はありませんが、可愛いかなーと思って。

この後の展開も趣味全開でまいりますので合わないなーと思えばエピソードごと読み飛ばして頂いて構いません。クライマックスは前半のテイストに戻りますので気が向いたら読んでやってください。


では、ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。

最後に、あなたの5分を頂けたこと大変光栄に思っております。明日以降もぜひお時間頂戴できたら幸いです。

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