機械の体を手に入れた男

鐘鳴怪

第一話

神様に一つだけ。どんな願いを叶えようと提案されたら、私の願いはすでに

決まっている。「神様。お願いです。私の体を機械にしてください」

そう願うと決めている。十五の時に、私は精神科に通院を始めた。

どうやら、私は精神に障害があると聞いて。その時は、何も

思わなかった。思わなかったは、正しい表現ではないなぁ。

正しい表現は「あっ!そうなんだ・・・・・・」これだな。

この他人事みたいな表現が、一番しっくりくる。それから、何十年も

精神科への通院が始まり。担当医師からは「もう、大丈夫だから」と

言われ。精神科への通院は終わった。精神科への通院が終っても

私の障害が完治したわけではない。これから、長い人生を一人で

生きる為には。仕事をしないといけなかった。私は、その後

障害就労支援施設への利用をしながら、就職へ向けてトレーニングを

している。そんな、私の心の支えが小説を書く事だ。小説を書いて

その小説が、商業的に本になって。その印税で生活できれば

私の仕事への悩みは解決する。だから、私は必死に小説を

書いた。書いて、書いて、書きまくった。でも、成果なんて

全くでない。それが普通なんだよなぁ。うん。それが普通だ。

私は障害就労支援施設に通いながら、小説を書き。ある考えが

脳裏に浮かんだ。私は機械の体を手に入れたいんだなぁ。

自分をサイボーグ化にしたいんだなぁ。そう思っていると

何だか、左腕から奇妙な機械音が鳴っている気がした。

これは幻聴ではないことに気づくのは、随分と後のことだった。






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