18話:サラとラウル
※サラ視点※
ローズとの模擬戦でエイジは互角以上に戦った。エイジの実力ならソロでダンジョンに挑むことも可能だと思う。
だけどむしろ実力があるなら、なおさらパーティーを組むべきだわ。ソロでできることには限界があるから。
それでもエイジは自分には考えがあると言って譲らなかった。そこまで言うくらいだから、エイジにはまだ隠し玉があると思う。たとえば私やラウルのようにマルチクラスで、
エイジはローズと同じ年くらいにしか見えないけど、マルチクラスで今の強さなら見た目よりも年上なのかも知れないわね。
「俺はダンジョンの攻略に集中したいから、しばらくは冒険者ギルドに来ないかも知れないよ」
「だったらエイジと次に会うのは、死体になったときか、今日が最初で最後かも知れないわね」
「サラ、忠告してくれててありがとう。そうならないように気をつけるよ」
エイジは考え方もしっかりしているし、嫌味にしか聞こえない私の言葉の意図も見抜いていた。もしかしたらエイジなら本当にソロで成功できるかも知れないと思ってしまった。
あれから1週間以上過ぎたけど、エイジは宣言した通りに一度も冒険者ギルドに姿を見せていない。ソロでダンジョンに挑んでいるから、もう死んでいる可能性もあるわね。だけど私にはエイジが魔物を倒している姿しか思い浮かばなかった。
エイジが挑んでいるのはたぶん隠しエリア『試練の塔』。私も一度挑んだことがあるけど、あそこならソロで成功できる可能性がある。エイジなら見逃す筈がないわ。
エイジ、期待しているわよ。無謀なことをして死んだら、絶対に許さないから!
――――――――――――――――――――
名前 :サラ・ラングウェイ 19歳
クラス:
HP 144
MP 210
STR 31
DEF 30
INT 65
RES 64
DEX 32
AGI 33
[スキルリスト]
――――――――――――――――――――
※ラウル視点※
まさかローズの剣が
ローズは俺たちが幼馴染みだからパーティーを組んだと勘違いしているみたいだが、そうじゃねえ。俺とサラはローズの才能に気づいて、一緒に戦ってみたいと思ったからだ。そんなローズの攻撃が真面に当たらねえとか……
エイジがソロでダンジョンに挑むと聞いたときはさすがに無謀だと思ったが、あいつには何か策があるみてえだからな。だったら止める理由はねえ。
エイジの目は怖いもの知らずのガキじゃなくて、ダンジョンの怖さを知っている奴の目だった。冒険者として実力があるだけじゃねえ。あいつには内に秘めた
馬鹿はダンジョンで長生きできねえが、強かな奴はしぶとく生き残る。俺のことを脳筋だと思っている奴もいるが、考えなしで生き残れるほどダンジョンは甘くねえぜ。俺たち3人がどうすれば生き残れるか、俺は危機感を持って常に考えている。
エイジの戦い方を見れば、修羅場を潜り抜けて来たことは間違いねえ。何か事情があってクランベルクの街に流れ着いたんだろうが過去なんて関係ねえ。これでも俺は人を見る目がある方だ。エイジの人柄を知れば、あいつが信じられる奴だってことは解るぜ。
俺たち『天元突破』は若手の中ではトップクラスの実力なんて言われているが、いつまでもこんなところで胡坐をかいているつもりはねえ。ローズとサラと3人でパーティーを組んだ日、どこまでも上を目指すと俺たちは誓った。
エイジはもっと強くなるだろう。俺たちもエイジに負けねえように、絶対に強くなってやるぜ!
――――――――――――――――――――
名前 :ラウル・ガードナー 19歳
クラス:
HP 210
MP 46
STR 56
DEF 55
INT 30
RES 28
DEX 49
AGI 49
[スキルリスト]
――――――――――――――――――――
※ ※ ※ ※
この日の攻略を終えた俺は、久しぶりに冒険者ギルドに向かった。
ダンジョンと
時間は午後7時過ぎ。10日ぶりに冒険者ギルドに行くと、知っている冒険者たちがいる。ローズたち『天元突破』にガイアたち『
「エイジ、久しぶりじゃない! ダンジョンの攻略は順調に進んでいるの?」
ローズは俺に気づくと、椅子から立ち上がって手を振る。
「死んでいないなら順調なんじゃない?」
サラは冷ややかな目で俺を見ながら、口元に微かな笑みを浮かべる。
「サラはまた何てことを言うのよ!」
「そんなことを言いながら、サラが一番エイジのことを気にしていたじゃねえか」
「ちょっとラウル、勝手なことを言わないでくれる? 私は『試練の塔』だと死体を回収するのも難しいと思っただけよ」
俺は『試練の塔』に挑むとは言っていないけど、サラのことだからソロなら当然『試練の塔』を攻略すると思ったんだろう。
「エイジ、突っ立ってないで早く座りなさいよ。飲み物はエールで良いわよね?」
ローズが自分の隣の椅子に俺を促す。ガイアがこっちを見て睨んでいるけど、気にしないで座る。
「エイジ、『試練の塔』の攻略は何階層まで進んだの?」
「サラはさっきも言っていたけど、エイジはソロだからやっぱり『試練の塔』を攻略しているの?」
「ああ、とりあえず『試練の塔』に挑もうと思ってね。今攻略している階層は、他の冒険者がいないところで話すよ」
ローズたちに話すのは構わないけど、他の冒険者に下手に絡まれると面倒だからな。
「それが賢明ね。だけど……エイジが強くなったことは私にも解るわ」
サラが真剣な顔で俺を見る。
「そうね。装備が全部変わっているし、ちょっと雰囲気が変わった? この前会ったときよりも自信に満ち溢れているって感じね」
「それだけ攻略が順調に進んでいるってことだろうぜ。エイジ、頑張っているみたいだな」
ローズたちと話していると全くストレスを感じない。端から疑うような真似をしないで、俺の話を真剣に聞いてくれるからだろう。
「俺たちは10階層の攻略を進めて、いよいよ大詰めだぜ。
『ラストダンジョン』には10階層毎に階層ボスが出現する。クランベルクの街の冒険者の中で10階層を攻略済みなのは極一部だ。10階層を攻略すればラウルたちも『若手の中ではトップクラス』じゃなくて、冒険者全体の上位に入ることになる。
それでもラウルたちよりずっとレベルが高い冒険者はいる。勿論ステータス画面を見た訳じゃないけど、攻略している階層で大よそのレベルが解るからな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます