13話:仲間
模擬戦の後、俺はローズたちと酒を飲みながら話をすることにした。
冒険者ギルドに併設された酒場に戻ると、嫌になるほど良く知っている冒険者たちを見つけて、思わず顔をしかめる。
「エイジ、どうしたの? そんな怖い顔をして」
ローズが俺の様子に気づいて視線の先を見る。
「ああ、『
『
「別に知り合いって訳じゃないけど、何となく嫌な感じだと思ったんだ。そんなに酷い奴らなのか?」
ローズたちが確保していたテーブル席に戻って、酒を飲みながら話を聞く。ローズの話だと、ガイアたちはオーガの大群に襲われたから
もう死んでいたなら、自分たちが逃げるために仲間の死体を置き去りにすることはあり得ない話じゃない。だけどガイアたちはまだ生きている俺を囮にして逃げた。
「余裕がなかった筈なのに、ダンジョンから戻って来た『
「あいつらは死んだ奴と仲が良くなかったから、ダンジョンの中で殺して死体を始末したんじゃないかって噂まであるぜ。そう言えば、死んだ奴の名前って……」
「ラウル、エイジ・マグナスよ。エイジと同じ名前の冒険者が死んだって話をしたくなかったから、敢えて名前を出さなかったのに!」
「そうね。前から思っていたけど、ラウルはデリカシーがないわ」
「何だよ、2人とも。名前が同じだけで別人なんだなら構わねえだろう?」
ローズは俺のために敢えて名前を出さなかったのか。俺がソロでダンジョンに挑むと言ったときも、最初から真剣に受け止めてくれた。女の子に言うのなんだけど、ホント良い奴だな。
「そう言えば、ローズは死んだ奴のことを結構評価していたな?」
「他人を評価するなんて、偉そうなことを言うつもりはないわ。私だってそんなに知っていた訳じゃないけど、ダンジョンで何度か見掛けたことがあるのを憶えていない? 決して強くはなかったけど、ガムシャラに戦っている姿が印象的で、私ももっと頑張らないとって思ったの」
エイジ・マグナスだった頃の俺のことを、ローズはそんな風に思ってくれていたのか。自分がやって来たことが認められたようで嬉しくなるな。
「エイジ。話を戻すけど、ソロでダンジョンに挑むメリットなんてないわ。もっと理論的に考えて、貴方は私たちのパーティーに入るべきよ」
サラが冷ややかな目で俺を見る。
「俺もそう思うぜ。おまえくらい実力があれば、ソロで戦えると思うのは当然だ。だが結局パーティーを組んだ方が確実に強くなれるぜ」
「サラさんとラウルさんが、俺のことを考えて言ってくれていることは解っている。だけど俺にも考えがあるんだ」
普通にパーティーを組んでダンジョンを攻略していたら、
「ローズを呼び捨てにしてるのに、今さら私とラウルを『さん』付けするのはどうかしら?」
「エイジ、俺たちはおまえの実力を認めたんだ。呼び捨てにして構わねえぜ!」
いや、そこは論点じゃないだろう? 俺も呼び捨てにした方が楽だけど。
「つまりエイジにはまだ隠し玉があるってこと? 剣以外にもダンジョンを攻略する手段があるんじゃないの?」
さすがにサラは鋭いな。思ったことをハッキリ言う性格だけど、言うことが的を射ているから相手も文句を言うことができないんだよ。
「そこは想像に任せるけど、何の用意もなかったらソロで挑むなんて言わないよ」
「だったら止める理由はねえか……エイジ、解ったぜ。ソロで頑張ってみろよ。俺は応援するぜ」
「だけど自分が間違っていたと思ったら直ぐに言いなさい。私たち『天元突破』は貴方を歓迎するわ」
ラウルとサラも良い奴だな。ローズが連れて来たからって理由もあるだろう。それでも俺のことを馬鹿にしないで真剣に話を聞いて、後のことまで心配してくれる。
その後は、これまでローズたち『天元突破』がどうやってダンジョンを攻略して来たのか、ソロで挑む俺のために自分たちの経験を聞かせてくれた。
冒険者にとって情報は重要だ。あまり詳しい話をすると手の内を晒すことにもなりかねない。だけどローズたちは気にする素振りも見せなかった。
「みんな、ありがとう。凄く参考になったよ」
俺が作ったダンジョンだから全部知っているつもりだったけど、実際に攻略しているローズたちの話を聞けたことは本当に参考になった。
「そんな
「そうだぜ。一緒にパーティーを組んでいる奴だけが仲間って訳じゃねえ。俺もエイジを仲間だと思っているぜ!」
「私は……そうね。エイジの実力は認めるわ」
サラの言い方は微妙だけど、俺が
この日、俺はローズたちと遅くまで話をした。
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