転生したら冷蔵庫の卵だった

パンチでランチ

第1話

目を覚ますと、真っ暗だった。

いや、正確にはほんのりオレンジ色の光が差している。しかも、肌寒い。


「ここはどこだ……?」


声を出そうとした瞬間、自分の身体がやけに小さいことに気づいた。腕も足もない。転がってみると――カツン!と硬い殻の感触。


……どうやら俺は卵になっていた。


しかも、周りには仲間と思しき卵たちがずらりと並んでいる。


「新入りか?」

隣から低い声が聞こえてきた。


「しゃ、喋った!?」

「俺はこの冷蔵庫で3週間生き延びたベテラン卵だ。名前はエッグ三郎」

「な、なんで卵が喋れるんだよ!」

「知らん。だが人間に見つかれば、ゆで卵か目玉焼きか、最悪生卵のまま一気飲みだ」


ゾッとした。人間に食べられる恐怖……これが卵の世界。


その時、冷蔵庫のドアが開いた。

まばゆい光が差し込む。人間の手が近づいてきて――


「ぎゃあああああ!」

三郎が掴まれた。


「おい、新入り!生き延びろ!そしていつか卵の平和を……!」


バタン、と扉が閉まる。

静寂の中、俺は決意した。


――絶対に、オムライスにはならない。

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