第5話 飽き性姉と欲しがり妹は

 伯爵の介入により、父は当主を退任し、家督は私に譲られた。


 私は結局マシュー様と結婚した。

 妹もマシュー様のことは好いていたけれど、

「どうしても、お姉様のお古は嫌」

 ということだった。


 そしてなぜか、フレッド・ツインズ伯爵と婚約することになった。

 私とは婚約しないままだったけど、そもそも彼は初婚ではない。

 それはいいのかと思ったけど、新品をたくさん買ってくれるからいいらしい。

 伯爵は年の差がありすぎるからと悩んでいたけれど、ほんのささいな贈り物でも大喜びする妹に庇護欲をそそられたらしい。


 まぁ、わかる。

 私も、ちゃんと新品を買ってプレゼントしたら、初めて心からの笑顔を見せてくれたもの。妹がチョロすぎて心配になる。


「……ですので、マシュー様はもうマリリンにプレゼントは贈らないでくださいね?」

「わかったよ」

 マシュー様が苦笑してうなずいてくれた。


 ぶっちゃけ、妹は伯爵よりも御子息のほうが年齢が近かったりする。

 伯爵は息子を紹介しようとしたが、妹は断った。

「勉強してないので、フレッド様のほうが条件がいいんです!」

 家の切り盛りくらいなら、腹を括ればできる。

 でも、ちゃんとした当主夫人は無理!

 ってキッパリ言い切った。


 伯爵は、マリリンがいいというのだからいいかと納得し、甘やかすことにしたらしい。

 帰省した御子息に呆れられたらしいが、マリリンから話を聞いて同情し、結婚を了承したそうだ。

 親子揃ってマリリンを甘やかす方向性らしい。


 最後に。

 両親は、そんなに節約生活が好きなら思う存分節約してくださいと、到底節約しないと生活できないほどの仕送りで、領地の外れの小さな家に押し込めた。

 思う存分節約生活を堪能してください。


「お姉様ー!」

 マリリンが元気よく手を振り、こちらに駆けてきた。

 思い出払拭のため婚約式に真っ白いドレスを着せてもらったとのことで……。


「ちゃんとレースが白いのよ! 見て!」


 ……と、宣ったマリリンの言葉に思わず泣きそうになったのは私だけではない。

 マシュー様も思わず空を見たし、フレッド・ツインズ伯爵は目頭を押さえて下を向き、御子息は目をこすっているわよ。


「ええ。シミ一つない、輝くばかりの白さだわ」

「そうでしょー!」


 ……昔、マリリンに譲った数々の品は、私がすべて引き取った。

 今も大切に使っている。


 マリリンは、『壊したら新品を買ってくれるかもしれない』という一縷の望みをかけて壊していたらしい。

「ごめんねお姉様。お姉様の大切にしていたものを壊してしまって……」

 と謝罪されたのでうなずいた。

「理由がわかったから許すわ。でも、今度からはたとえ中古であろうとも大切に扱うようにしてね」

「はい!」

 マリリンの頭を撫でる。

 ……ようやく私たちは姉妹になれた気がした。

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飽き性姉と欲しがり妹 サエトミユウ @shonobu

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