3年前、養子の兄が惨殺事件の疑いをかけられ断罪された。
それ以降離れ離れとなった彼と京都で再会するが、よく知った兄は相変わらず優しいものの、違う名前を持ちどこか遠く別人のように感じた。
主人公の澄弥の家は勘定方だったが、兄が断罪された事件によってその職を剥奪されている。
そんな彼は、藩の帳簿の不正を暴けと命じられたことにより、改めて『数字』と『過去』に向き合うこととなる…
暗く闇に包まれた過去が二人の絆をより特別なものとして、これからの物語を苦しくも鮮やかにしてくれるのだろうなとワクワクさせる序盤です。
特筆すべきは、藩の不正・裏切りという謎に、得意な『数字』で挑むという物語構成です。
後宮ミステリや検死ミステリなど、今でこそ王道となったこのジャンルに、幕末×勘定方という新たな切り口で描かれる物語にワクワクが止まりません。
そして主人公の澄弥は数字を武器にするだけのキャラクターではなく、数字を愛し、数字こそが彼の個性となっているのもほんとに素敵なんです…
兄と澄弥の、穏やかだけれど確実に過去の仄暗さがさす微妙な感情の揺れが垣間見える二人のやりとり、
そして血の気の多い侍が加わったことでぱっと三人の関係性が際立って、これからの展開も目が離せません。
幕末の京都の街をかけながら、因縁と謎が紐解かれる新たな時代ミステリをぜひ堪能ください!