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「葵ちゃんは、十六歳ってことは、高校一年生?」
とりあえず関係を深めようと、というか正確には、他に何をすればいいか思いつかないし自然と、三人は集まって、私が手始めに質問した。
「……いえ、高校二年生です」
「うっそー。私とタメじゃん、タメ。小っちゃくて、ぜーんぜん高二に見えないね。かっわいいー」
理恵ちゃんが興奮して、葵ちゃんの肩の辺りをバシバシと叩きながら言った。
そして彼女は私のほうに視線を向けた。
「ってことは、鈴木さんが、一番年齢が上だから、リーダっすね」
「えー?」
やだよ、リーダーなんて。私はそんな器じゃない。
「ちょっと、その前に、鈴木さんって言うのやめて。地味な名字で、あんまり好きじゃないんだ。アイドルっぽくもないし。もっとあるでしょ、違う呼び方が」
「そうっすか? じゃあ、すーさん?」
「それもやだ」
「わがままっすねえ。だったら、八重だから、やっさん?」
「あんた、わざと、人が嫌がる、ふざけたのを言ってるでしょ?」
「何がっすか。ふざけてなんかいませんよ、先輩に対して。それなら、何がいいのか、自分でおっしゃってください」
えー? もー。自分でどう呼ばれたいか発表するなんて恥ずかしいじゃん。
「んー……八重さん、でいいや」
「何だ。別にアイドルっぽくないですし、それだったら、やっさんでも一緒じゃないですか。面倒くさい人なんすか?」
「そんなことないよ」
失礼な。
「それより、何なの? その、語尾の、すかすかすかすか。初め青山さんにも口にしたよね?」
見た目は可愛い女子だから、全然似合ってない。
「あー、すみません。私、四人きょうだいで、他の三人は全員兄で、体育会系でみんなこうしゃべるもんですから、うつっちゃったんですよ。外では出さないように極力気をつけてはいるんすけど。あ、やば、また使っちゃった」
「ふーん、大変だね。アイドルをやるんだから、きちんと直したほうがいいと思うよ。ちなみに、私はきょうだいは弟が一人。葵ちゃんは?」
「……私は一人っ子です」
「っぽーい。やっぱそうだよねー」
理恵ちゃんがそう述べて、また葵ちゃんの肩のへんをバンバン叩いた。
「あんた、それ、やめなよ。葵ちゃん、嫌がってるじゃん」
「あ、ほんと? ごめんね」
「……私は大丈夫です」
あ。
「それより、どうする? 自分たちでファンをつくらなきゃいけないなんてさ。さっき青山さんに言ったけど、まだ右も左も何もわからないのに、ひどいよね。どういうつもりなんだろ?」
「多分あれなんす……いや、あれなんですよね」
理恵ちゃんがつぶやいた。
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