四月二十日(水)
上京して一人暮らしを始めた時に、外食は一切しないと張り切ってフライパンや鍋を揃えたのだが、三ヶ月ももたなかった。その後は本当に気が向いた時だけ自炊をしている。唯香はそれらの調理器具を使って料理をしてくれているのだろう。照り焼きチキンを作ってくれた日以降、唯香は料理を作って僕の帰りを待っていてくれた。バイト帰りに僕は唯香からのメールを見ながら買い物をして帰るのが日課となっていた。料理はどれも美味しかった。カレー、肉じゃが、シチュー、和風パスタ、麻婆豆腐などなど。
実際に作っているところを見たことはなかった。おそらく包丁や食材自体に乗り移り、それぞれを動かして作っているのだろう。その作業は普通に料理をするより遥かに手間がかかるに違いない。そんなふうに調理されていく食材を想像しながら、僕は感謝しつつ、それらを味わった。
どうやら唯香は僕の持っているCDを片っ端から聴いたようだった。一番気に入ったのはLENNY KRAVITZの『ARE YOU GONNA GO MY WAY』というアルバムだと言った。意外な彼女の好みに僕は驚いた。
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