第6話

「ふぅー、やったか?」


 なんてフラグになりそうなことを言いながら細切れにした死体を見ると、再生せず砂のように肉片がボロボロになり、やがてすべて風に吹かれたかのように消えた。


女の子の無事を確認しようと辺りを見渡すと、先程の殺気に当てられたのだろう、階段前で泡を吹いて倒れていた。


女としては無事じゃないのだろうが、怪我を負っていないことに安心する。


 おそらくこの階段を上がれば外に出られるのだろうが、生憎呪いのせいで女の子を抱えて外に出ることは出来ない。


自力で階段を上がって外に出てもらう以外に方法がないので、起きるのを待つしかない。


初めて友好的?に話せた人間なので、大事にしたい。そう思い、少し距離を詰めて胡座をかこうと歩き出した時だった。


突如天井が何かに突き破られ爆発音と共に崩れた。そして瓦礫と土煙の中から1人の人間が出てくる。


「ハロハロ〜!!みんなのアイドル!S級冒険者兼配信者のみこるんだよ〜」


コメント欄


・あれ?今日は大食い配信じゃないの?

・珍しく冒険者の仕事してる...

・最近ずっと大食いばっかだったからな笑笑

・みこるん食い意地張ってるからな〜。ま、そこが可愛いんだけど。

・何様だてめぇ。俺のみこるんだぞ

・あ?お前のじゃねぇよ

・まぁまぁ、厄介ファンは両方死んで、どうぞ。




 なんか偉く騒々しいのが降ってきたな。土煙から出てきたのはブレザーの制服を来た女子高生だった。そしてそのすぐ後ろにはどういう原理で飛んでるか分からない球体型のカメラがあった。


ショートヘアの茶髪にミニスカ、そして巨大な2つの霊峰。いかにも遊んでいそうな感じだが、これがS級冒険者?という奴なのか。


煙が晴れ、女子高生と目が合う。


「ごめん皆、今日はちょっとガチで行かないとヤバいかも」


・うわ!化物じゃん

・みこるん死なないで

・なんか赤い液体が地面に広がってる。これってもしかして...

・おい!女の子が倒れてるぞ!

・全てのダンジョンには緊急時に備えて警備係の冒険者が配置されてるんじゃなかったっけ?

・じゃあなんで出てこないんだよ!

・そんなんとっくに全滅してるからに決まってんだろ笑

・不謹慎だぞ

・でも仮にそうだとしたらS級のみこるんが緊急で呼び出されるのも納得かも




 なんか殺気を向けられてる...まだ何もしてないはずなのに。


...いや、待てよ。


床に広がった血痕。背後で気絶してる女の子。


そして消えた魔神モドキの死体。




これ、俺がやったって思われてね?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ダンジョンボスに転生、人類の敵 @ROmrun

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ