良い人生、創作活動をするには?ニュースの見方

夏目アキ

第1話


 私はニュースの見方に、少し変わった習慣を持っている。社会ニュースは一週間分を一度にまとめて確認し、残りの六日間は日本の淡水魚、甲虫、鱗翅目などの生物など自分が楽しいと感じられるニュースに時間を割くのだ。なぜかといえば、政治や事件といった暗いニュースを毎日のように目にすると、どうしても気分が沈み、一日の始まりを重苦しいものにしてしまうからである。しかし同時に、社会で起きている出来事を知ることは重要だとも思っている。ここは小説を投稿する場所だから語るが、最新の情報を掴むことで社会を理解することができる

。これによって広がった視野はきっと万人受けする小説を書くことに繋がるだろう。自分の書きたい小説と万人受けする小説は違うだろうが、人に認められるというのはかなり得なことではないか。だからこそ私は、精神的負担を抑えつつ情報を得るために「まとめ読み」という方法を選んでいるのである。

 社会の大きな枠組みを理解するには、暗い話題だけを追えばよいわけではない。むしろ、私にとっての救いは「楽しい情報」の存在にある。たとえば最近、ある希少な淡水魚が緊急保護種に指定されたというニュースを知った。専門的な話題ではあるが、未来に命がつながることを想像すると自然に心が温かくなった。世間的には注目度の低い出来事かもしれない。しかし「未来が少し明るくなる出来事」は、暗い事件よりもはるかに日常の力になるのだ。私が生物ニュースをよく追うのは、まさにその「小さな幸せ」に触れるためである。

 それにしても、なぜ報道の中心は暗い話題ばかりなのだろうか。新聞やテレビの一面を飾るのは、政治、戦争、凶悪事件など、読む者の心を重くする記事がほとんどである。決して嬉しい出来事が少ないわけではない。それでも暗いニュースが多いのは、人が「衝撃」や「刺激」を求めてしまうからだろう。私自身も、過去に放送された平成の凶悪事件の特集番組に強く引き込まれた経験がある。意外性や恐怖には、人の注意を奪う力があるのだ。しかし日常的な報道となると、そこには未知の魅力はなく、ただ「普遍的に暗い」出来事が並ぶだけだ。そうした情報ばかり浴びていては、心がすり減り、社会を知る意欲すら失ってしまう。

 高校時代のある記憶も思い出す。年配の保健の先生がいて、授業のたびに生徒を指名して「今週のニュース」を言わせるのが決まりだった。多くの生徒は事故や事件、スポーツの結果を口にし、先生も特にスポーツの話題に食いついていた。あるとき、私が新しい昆虫の発見を紹介したところ、「それはニュースではない」と即座に切り捨てられた。彼にとってニュースとは、事件やスポーツのように多くの人が興味を持つものに限られていたのだろう。だが私はそのとき、「本当のニュースとは何か」という疑問を抱いた。人が幸せを感じる出来事や、未来につながる小さな発見は、決して価値のない情報ではない。むしろ社会の全体像を豊かに捉えるためには不可欠なのではないか。

 最新情報を知ることは、社会を知り、世界を把握することだ。だとすれば、事件や政治のような需要の高い情報ばかりに偏るのは危険である。暗いニュースだけで社会を理解した気になるのは、光と影の片方しか見ないのと同じだ。幸せな出来事や楽しいニュースこそが、社会のもう一つの顔を映し出す。人々が笑顔になれる物語や、未来に希望を感じさせる発見が報じられるとき、社会の姿はより立体的になる。私はそうした情報を積極的に摂取することでこそ、本当の意味での「情報の強さ」が育まれると信じている。

 ニュースの本当の役割は、人を不安にすることではなく、世界を理解する助けになることだ。だからこそ私はこれからも、暗いニュースと同じくらい、幸せで楽しい情報に耳を澄ませていきたい。

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