第6話

―2025年4月―


 放課後の帰り道。

 今日も、あの子はどこか浮かない顔をしていた。


 いつものメンバー。

 通称「いつメン」って呼ばれてるグループで、にぎやかに校門を出た。


 「ねえ、今日さ〜原宿のパフェ行かない?」

 「いいじゃん!なんか映えそうなとこ、探そ!」

 そんなの、よくある普通の女子高生の会話。


 でも——


 「ごめん。行くとこあるんだ」

 その子は、小さくつぶやいた。


 友達がいないわけじゃない。

 一緒に笑ったり、ふざけ合ったりだってできる。

 なのに、心のどこかで、いつもひとりぼっちだった。


 “親友”とか“いつメン”とか、言葉ではつながってるのに、

 本当は誰とも心が繋がってない——

 そんな気がして、苦しくなることがある。

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