第24話 VS大仏戦

大仏とオークたちの足元が沈み、ぬかるみに足を取られて前進が止まる



「悪いな、こっちは喧嘩弱いからよ」

軽口を叩きながら、再度火魔法を発動させ敵の足元へ撃ち込んでいく

するとますますぬかるみが広まり、敵が泥にまみれていく


相手の主力の接近戦が強い為、俺は敵の動きを止めるべく

広間の土を土魔法とモンスター達の肉体労働で掘り返し続けていた。そうして緩くなった足場にホースで大量に水を撒いた後に水魔法による冷気で固め、固まり切らなかった場所にはダンジョンで無料で貰える藻で隠し済みだ


「てめえ卑怯だぞ!!」


俺もそう思うよ。でもそんな事言ってられないからなあ。返事もせずに俺はゴブリンアーチャーと一緒にポルタ―ガイストで大量に槍を飛ばして遠距離攻撃をしていく


俺のモンスター陣による火魔法で広がるぬかるみに足をとられながらも

大仏は前に進もうとしていた。そこで俺はパラメータを調節し作った

ユニークモンスターであるトラップスライムを投下させる


「そんなのが効くと思ってんのか!!」


スライムの弱酸性を知ってか、槍と弓を防ぎながら敵が悪態をつく


俺もこんなので倒せるとは思っていないよ

寿命を大幅に削り、一度設置すれば動けなくなる縛りがあるが

サイズをあげ、取り込んだ薬品の濃度を大幅に上げる性質を持ったトラップスライムを大仏に投下させる



するとトラップスライムと大仏の体を作る青銅が科学反応を起こし、薄く白い煙が出てくる

しかし表面も溶かせていないのか、大仏は構わず進もうとする


そこで俺はもう1匹のトラップスライムを落とす

すると白い煙が激しくなり、大仏の表面が泡立ち始めた



最初のスライムには大量の酸化剤として漂白剤

2匹目には大量の塩素系洗剤を摂取させておいた


どういう意味かというと、「混ぜるな危険」という事だ


塩素系洗剤と漂白剤を混ぜると強力な腐食反応と毒ガスが発生する

濃度を上げればそれはより大きくなる。外部から熱を加えれば、余計にだ



発生した毒ガスはユナの風魔法による突風で相手側へと飛ばしていき

煙幕の向こうにいる敵へと集中砲火を続ける。相手の魔法でLv.3は1人だけのようで

眷属4人分の魔法を踏まえても遠距離戦ではこっちに分がある


それに加え浮遊能力を持つインプは悪い足場でも煙幕を利用しながら

角度をつけた攻撃が可能になった。大量の魔法と、弓と投げ槍で敵の数を削っていく


しかし煙幕代わりの毒ガスとぬかるみがあっても、徐々に敵も前進してくる


俺は徐々に距離を取るよう指示し、女性陣の壁役を「人形使い」の鎧騎士に任せて

突撃用に掘り返していなかった壁際の道からオークたちを突撃させる


今回、俺は大仏を倒す気は無かった。というか無理だ。

フィジカルで相手になっていないし、オークもあそこまで数は揃えられないだろう

精々出来るのは時間稼ぎまで



敵の注意を大仏に引き付け、煙幕と大量の魔法に紛れて突撃したオーク達は敵と乱戦になる。一呼吸遅らせて敵陣へと走った俺は布で口を覆いながら魔王キクイリに目掛けて身体強化と強肩を重ね掛けした鉄の槍を投げつける



しかし槍は「ドスッ」という音と共に盾にされた男の眷属へ深々と刺さる

同情している暇はない。俺に気付いた敵は魔法を撃ってきたが、防壁の腕輪のバリアで防ぐ



その隙にインプ達の魔法を敵の女眷属達へと集中砲火させ、魔王と1対1の状況を作り出す。俺も体力に自信がある方じゃないが、こいつよりは強いだろう。毒耐性のおかげか、目が染みるが何とか立ち回れそうだ。槍を振り回しながら、致命傷には至らないが徐々に手傷を負わせていく。



しかし混戦の中から抜け出てきたオークが間に入ってくる。


その隙に魔法を撃とうとしてくるが、俺のポルタ―ガイストの方が早い。残鍛迷途ざんたんめいとで発生させた槍でオークごと動きを止めた俺は毒の小刀を投げつけるが外れて地面に落ちてしまう


その隙に火の槍が飛んでくるが、防壁の腕輪のクールタイムが間に合い何とか防ぐ


次の攻撃は防げないだろう。こっちのオークをカバーに入らせ。再度槍を発生させ、ポルターガイストを発動させ、槍の雨を降らせる


だが、カバーに入ってくるオークが増えた事でまたも防がれてしまう


「何回も同じ事してんじゃねえよ!」


『トスッ』


「かっ…???」


魔王キクイリの喉に短剣が突き刺さっていた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る