君への手紙

たちばな かん

思いを綴れば残ってくれる気がして


僕の手紙を受け取ってくれる気がして


体を持って現れてくれる気がして


馬鹿みたいに何度も書いたんだ


君の欠点をまとめて封をして置いてみたんだ


汚いところで覆えば何も見えなくなるって


僕の目には眩しすぎたから隠したんだ


でもどうも布切れが足りないみたいで


風に吹かれては鼻をくすぐり


光が漏れては全てを照らす


箱に閉じ込めては心地よい声が聞こえる


お願いだから嫌いにさせてはくれないか


欠点なんてひとつも無かった


ただ忘れたかったんだ


君が居なければ生きていけない


本当なんだ


どれほど愚かだったかなんて聞かないで


君がいちばん知っているよね


どれほど弱いかなんて試さないで


僕が隠したかった心を解かないで


最期まで罪な人だね


僕なんかを愛しておいて放っていくのか


君は自由すぎるよ


少しくらいは一緒に行こうよ


皮の剥けた荒れた手でも握ってくれるよね


涙を堪えようと筆を握りすぎたみたいだ


酷く滲む景色と封筒だけが残った

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君への手紙 たちばな かん @citrus7

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