第9話 もう一人の挑戦者

国語の試練をクリアして、建物から出ると、黄金色の輝いている木の幹にオルフが止まっていた。

「国語の試練はどうじゃったか?」

オルフに聞かれて、僕は答えた。

「勉強のほかにも大切なこともわかったよ。」

明るく笑いながら答えた。

「それは、よかったの。次は少し寄り道したいのじゃがいいか?」

「なんで寄り道したいの?」

試練の旅に成長を感じている今、早く次の試練を受けたかった。

「さっき試練を受けていた人に会いに行くのじゃ。会ってみると、亮のためにもなると思うぞ。」

意味深にオルフが言った。

「わかった。行くよ。」

オルフがそこまでいうならと根負けした。

「そう来なくてはな。ついてくるのじゃ。」

そう言ってオルフは森の中を飛び始めた。

しばらく後についていくと、さっき受けた国語の試練の建物に似たものが一つ建っていた。

「ついたぞ。そこに座って居る子がさっき数学の試練を受けいていた子じゃ。亮と同い年じゃから話しかけてみるといい。」

オルフにそう言われてよく似ると建物の影に一人の女の子が座っているのが見えた。勇気を出して話しかけてみようと思う。

「こんにちは、なんかあったの?」

声をかけたら相手は驚きに目を見張っていた。しばらく建って驚きから回復したのか、

「なんでここにいるの?」

と聞いてきた。

こう言われて初めて、まだ自己紹介をしていないことに気づいた。

「僕の名前は、亮。現実の世界で色々あって、成長するために、ここで試練を受けてるんだよ。君の名前は?」

パッと感じ、制服のような格好をしていて、どこにでもいそうな中学生に見えた。でも、目には少しだけ影を落としている。

「私は、彩っていうの。現実の世界で自分の生き方に疑問を持ってたら、こっちの世界にきて、気づいたら数学の試練?みたいなのを受けてたの。」

さっきまで泣いていたのか目元が少し赤い。

「それで数学の試練はどうだったの?」

「失敗しちゃった。問題を解くまではできたんだけど、自分のやりたい道を選ぶ問題で今まで人の顔色ばかり見て生活していたから自分のやりたい道が選べなかったの。」

笑おうとしていたけれど、口元が少し震えていた。光の加減で、彩の目はまた赤く見えた.

あやの言葉を聞いて胸が痛んだ。昔の僕もこうだったから。

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魔法の森と白銀のフクロウ @tatsu807

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