第4話 魔術学院の幼なじみ?
王女の願いを受け、俺は王都の中心にある魔術学院へ連れて行かれることになった。
石造りの荘厳な校舎は、まるで大学とお城を合わせたような雰囲気だ。尖塔には魔法陣の光がちらつき、門をくぐるだけで背筋が伸びる。
「ここでユウ様の魔力を正式に測定いたします」
「えぇ……俺、本当に魔法なんて使えないと思うんだけど」
リディアが胸を張り、エレナも腕を組んで頷く。二人ともやる気満々なのに、当の本人である俺だけが不安だらけだった。
広間に入ると、白衣を着た教師たちと、見習いらしき生徒がちらほら。
その中に、ひときわ大きな声をあげる少女がいた。
「――えっ!? ユウ……?」
茶色い三つ編みを揺らしながら、彼女は駆け寄ってきた。大きな瞳が潤み、まるで旧友に再会したかのような笑顔を浮かべる。
「ど、どうしてここに……? あなた、私の幼なじみにそっくり!」
「え、えぇ!? いや、俺にそんな記憶は……」
俺が否定する前に、彼女は両手で俺の手をぎゅっと握った。小柄なのに力強く、必死さが伝わってくる。
「覚えてないの……? でも、間違いない。声も、笑い方も、あの頃のまま……」
完全に勘違いモードだ。
リディアとエレナが同時に険しい顔をする。
「ユウ様は私と共に森を抜けた方です!」
「いいえ、王女殿下にお仕えするのが先です!」
今度は魔術学院で修羅場かよ。俺の胃がもたない。
そんな空気を察したのか、教師が測定器を持ち出してきた。透明な水晶に魔力を流すことで、持っている力の量がわかるらしい。
「ユウ殿、手を置いてください」
恐る恐る掌をのせる。
――ピシッ。
水晶が震え、内部に光が走った。
「おぉ……?」
教師たちがざわめく。
次の瞬間。
――ドカンッ!!
爆音とともに水晶が粉々に砕け、光の奔流が広間を埋め尽くした。
生徒たちが悲鳴を上げて逃げ出し、教師が目をむく。
「き、規格外だ……! こんなの、見たことがない!」
「うわ、やば……俺、本当にやったのかこれ!?」
掌はじんじん熱く、心臓まで響いてくる。
でも俺は何もしてない。ただ触っただけだ。
煙の中、三つ編みの少女――ミナが俺の腕にしがみついてきた。
涙をため、必死に言葉を絞り出す。
「……絶対に、もう離さないから!」
え、いや、なんで!? 俺、また勘違いされてる!?
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