第2話ラムネ

今日は、祭りの日。僕はラムネを1つ買って、ベンチに座りながら飲む。小学生が走って僕の近くで転んだ。「君、大丈夫?」と声をかけた。彼の膝に小さな擦り傷ができている。「うん、大丈夫」小学生は、また走ってどこかへ行ってしまった。大学生の僕は、小学生の頃を思い出した。小学生の頃、夏祭りの帰り道、大きな犬が飛び出し、僕の腕に噛み付いた。

僕は、ギャン泣き。急いで泣きながら帰ったあの日は、今でも思い出す。僕は、犬に噛まれたことからトラウマになってしまった。僕のヘッドホンからは、化けの花が流れる。「見ないで理解できないんでしょう?まるで咲いてしまった化けの花」その歌詞が僕の胸の奥でざわめく。僕は、曲を聴きながら、ラムネを飲み干した。僕は、ラムネの蓋を開け中のビー玉を取り出した。僕は、そのビー玉を覗き込む。「真っ逆さまに見える」思わず、言ってしまった。僕は、ビー玉の透明さに驚いた。僕の過去を鮮明に映し出す。これから何が起こる。多分僕は、消えるんだと、悟った。僕は、藍色の空を見つめた。

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