第17話

「聞かないよ。教えてくれないもんどうせ。」


「………………」


「清子ちゃんが人に頼ったり、自分を曝け出したりするの苦手なことくらい分かるし。」


「………………うん。」


「この1週間、あんだけがっつり4人でいればね。嫌でも知れるよ。」


「…………うん。」


「まあ残りの2日間は?誰かさんがお休みの所為で頗る空気悪かったけどねえ。」


「……ごめん。」


「俺に言う事じゃないでしょ、それは。」





佐藤の言う通り。


私は、自分を魅せることが苦手だ。

自分を解られることが嫌いだ。


本当に心から信用して、自分の全てを預けてもいいやって思える相手以外に。








この1週間で発展した私たちの関係は、心地よかった。


その1週間、なんだかんだで私は特に鈴木と関わる時間が多かった。


ただ、それだけなのに。








「あ、もちろんね。」


「?」


「清子ちゃんの心が誰に向いてるか、のも。分かったよ。」





そこでようやく、私は佐藤に顔をむける。


佐藤はとても穏やかに柔らかく、微笑んでいた。





それでも認めたくなくて、すぐに俯く。














だって。

鈴木はとても、暖かい人なんだ。

















そんな安っぽい言い訳は、どこにも出すことなく、消した。

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