第17話
賑やかな空気のなか、最後のひとりが口を開く。
「じゃあ最後に…瀧川哲(たきがわてつ)です。全員と同じ、農業高校2年1組。歳は、4月生まれだから17。よろしく、しずか。」
「哲…か。うん。よろしくね。」
心地よいトーンで、全てを優しく包み込むように言葉を紡ぐのが印象的な哲は、ものすごい高身長だ。
まだ家には入る前、外で見たとき遠くても近くでも、たぶん平均くらい(170ちょいとか)の身長だろう蓮くんとまもまもより、頭2個分は飛び抜けていたから。
「哲、背おっきいよね」
「そうか?」
「そうか?じゃない!ずるいよ哲は!余裕で180越えてるからね!むしろ後半だからね!分けて欲しいっつーの!」
「昼寝しすぎなんだよきっと。曹も同じだけ眠ったらいけるって!余裕余裕!」
「フォローになってるようでなってない気もするけど…ありがと護」
「でも確かに、哲は寝すぎ…って、ほら言ってるそばから…」
そんな見た目プラス、黒髪短髪、派手ではないけれど整った顔立ちをしてる強面なこの子は見た目に反し、意外にもいじられキャラらしい。
こんなにも自分の話題で盛り上がられているのに、哲は気付いてさえないような素振りで、大あくびを披露している。
…天然なのか?
自身が背負っていた、ポップな黄緑一色で染められているカジュアルなリュックをテーブルに乗せ、
「眠い…しずか、ここで昼寝していい?」
「どうぞどうぞ…存分に寝てもっとおっきくおなりよ少年」
「ありがと…」
枕へ早変わりさせながらうとうとし始めたところをみると、どうやらマイペースでもあるようだ。
あたし以外のみんなは慣れているのか、哲の回りにある湯飲みやお茶菓子その他諸々を、さりげなく遠ざけている。
…すばらしい関係性だな、みんな。羨ましい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます