いつか、また。かならず、ここで。
第36話
それぞれ、違う道へと別れ、去って行く男女。
全身の力を使い、動かしていた身体を、止めました。
ふう…どうやら“私”がしていた行動は、無粋だったようです。
残念ですけれども…仕方がありません。
…あ、いきなりしゃしゃり出てきてしまいましたね…。
ご無礼をお許しください。
それでは改めてまして、自己紹介とやらでも。ごほん。
“私”は、いつも、この場所にいる者でございます。
この場所で、さまざまな“にんげん”の背中を見てきました。
“私”の前が定位置となっているベンチ君とは、
いちばん長くお話をする仲です。
ベンチ君の上では、
色色な“にんげん”の会話が飛び交っておりまして、
とても、忙しそうです。
ではでは…“私”の自己紹介ついでに、
ある日のエピソードでも、おひとつ致しましょう。
それは、きれいなお月様が姿を現していた夜。
真夜中、のことです。
静かな公園内に、ひとりの女の子がやってきました。
女の子は、ベンチ君に腰掛けることをしません。
“私”の元に、しゃがんだのです。
こつん、と“私”の足元に
ご自身の頭を凭れさせ、声を掛けてくれました。
『立派、だね。』
微笑みながら、太鼓判を押すかのよう、
“私”に、優しく手のひらを乗せました。
嬉しくなった“私”は
『ありがとう、ございます。』
お礼にひとつ、女の子の元に、葉を落としました。
何百年、何千年と生きていても、
お褒めの言葉は、嬉しいものですからね。
女の子は、頭にのった“私”からの
お礼を手のひらに乗せ、表情を綻ばせています。
可愛らしい女の子の笑顔で、“私”の心も綻んだ気がしました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます