第23話

プルタブVS握力








真夏に近い夜、どんなに白熱した闘いを繰り広げようが、




「ぎゃっ。ほら…爪!プルタブの先刺さった」

「うーわ痛そ…亜依子の深爪よ永遠に。」

「…言うようになったね。晟。」

「からかいたくなんだよな…何でだろ」

「やめてくれない…」

「なにを」

「そんな真剣に悩まれたら気まずいわ。なんか。」

「…それ自分で開けろよ。」

「(拗ねてるし。)どけち餓鬼んちょ。」

「(ど…けち…餓鬼、んちょ?)…にやにやすんな。」






更級亜依子は、パーカーの袖を捲り上げるなんてことを、決してしなかった。

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