第13話

線香花火とチャッカマン








静かな公園で2人きり、数十本の線香花火を遣りきった。




「あー…落ちた。消えた…」

「次まだあるだろ」

「よし。晟、火つけて」

「…お父さんか俺は。」

「パパ。あたしに手渡すとき慎重にね?」

「はいはい。」

「これは、ちょっとの衝撃で、終わるから。」






もし、この日使用したチャッカマンが、何かの事件と関係する代物で、警察に押収されることがあるとすれば、指紋が検出されるのは、俺ひとりだけのものだろう。



最初から最後まで、更級亜依子が自分で火を着けることはなかったから。

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