第10話
てなわけで。
とりあえずは、だ。
唯一の頼みの綱、先月まで私の兄としてたくさんの時間を過ごしたソウさんへ話をつけることにしてみる。
ラインからソウさん個人を画面に出し、事細かいレンさんとの経緯&説明(ほぼ怒りの抗議)を送った。
すると、1分ともかからず鳴った短い音。
“( ˙-˙ )”
中を覗けば、意味不明な顔文字(分かるっちゃ分かるけれど)がひとつある。
慰めなどないソレが。
ソレのみが。
なんだいなんだい。
ソウさんのバカヤロー。
レンさんはもっともっとバカヤロー。
ジャンルは違えど、同じ業界。同じ所属事務所。
なんなら共演経験までもある、同職者なのに。
なんだかとっても遠くに感じてしまう彼らに、身勝手な寂しさを感じた。
それをかき消すよう、熱情ばかりをヒートアップさせるよう心がけた、その後。
“なんかごめんね、なこちゃん。”
“でも超レンらしー(笑)”
数分を置いて届いたのは、
「み、微塵も笑えねえ……!」
どこのどいつがソウさんを天使だなんて認めたの。
悪魔じゃないの。
むしろ本気出したら大魔王になれるんじゃないの。
と、ヒートアップにヒートアップを重ねる憤りの要因となる言葉だった。
なんだよもう!
もうもうもうもう!
こうなりゃ最終手段だこん畜生め!
ネットへと繋ぎ検索し、vegetablooseの公式ホームページへと移動する。
そして。
「にゃーあ!!!」
「はい?」
半年後にある“LIVE TOUR”を確認し。
“あるため”に必要な事項を登録し。
ちょうど着いたらしい自宅前で止まった車、アスファルトにしっかりと降り立った。
そのまま、何だかんだでこのあだ名を気に入っている気がするマネージャーを、力強く指さす。
「有須川、べじたりあんになるってよ!」
「………………はい?」
高らかにした宣言に、さすがのにゃーあにも?を浮かべた、訝しい視線を伸ばされてしまった。
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