女になったら片思いの子に拾われました
@music-lover
第1話
制服の第二ボタンにある細かい傷を数えながら、春の風が桜の花びらを伴って屋上を駆け抜ける。
神宮寺綾は制服の上着を羽織り、金網に寄りかかっていた。
「で、何の用?」彼女は指先で桜の花びらを潰す。
破片は黒いマニキュアを塗った人差し指にへばりついた。
風が制服のスカートの裾を翻し、膝上ソックスの上端にあるレースの縁をちらりと見せた。
突然、喉が詰まった。九十九回も練習した告白の言葉が、どうしても出てこない。
彼女が顎を上げたその角度は、以前の生物の授業で解剖したカエルを思い出させた。あの冷たく、注視されるのを待つような姿勢。
「僕は……」
「俺……」
「三──」彼女が突然近づき、逆数を数え始めた。
「二」
「一」
「僕と付き合ってください!」私はほとんど叫ぶように言った。
彼女は数歩後ずさりし、肩にかけていた制服の上端が滑り落ちた。
一秒。
二秒──自分のはげしい鼓動が聞こえる。
「却下」彼女は腰をかがめて上着を拾い上げた。
「私ね……」 「女の子が好きなの」
私は彼女の笑みを浮かべた顔を見つめながら、先週、美術室の石膏像を運ぶのを手伝った時のことを思い出した。
彼女がつま先立ちになってヴィーナス像の埃を拭いていたあの姿を。その時も彼女は同じように笑っていた──「やっぱり女性の形体の方が美しいよね」と。
---
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます