エピローグ2:新堂亜紀
――同盟? ふふっ、笑止というものだわ。
玲奈と「協力」したのは、あくまで一時的な方便にすぎない。
確かに、麻里という“共通の脅威”に立ち向かうには必要だった。
けれど――最後に勝つのは、私。
直也くんは、絶対に誰にも渡さない。
私はね、ちゃんと考えているの。
たとえば街丘由佳さん。玲奈は彼女を“外部プレイヤー”と見て警戒していたけど……私は違う。
むしろ仲良くしておくべきだとすら思ってる。
彼女の持つネットワークも、経験も、そしてあの色香でさえ――利用できるなら利用してしまえばいい。
(……玲奈はまだそこに気づいてないんでしょうね。可愛いものだわ)
だって、歴史が証明しているじゃない。
――独ソ不可侵条約を結んだ後、ポーランドは分割された。――で、その後、独ソはどうなったのか?手を組んだはずの相手を、今度は踏み潰すべく、史上最悪の戦闘が行われたのよ。
つまり、“同盟”なんて、所詮は一時的な猶予。
本当に怖いのは、その裏で次に誰を喰らうかを考えているプレイヤーよ。
……もちろん、私はその役を担うつもり。
玲奈は油断してる。
「二人で協力して麻里を迎え撃つ」なんて口にして、今は満足げにワインを傾けているけれど……。
甘いのよ。最後に笑うのは私。
直也くんの周囲には、麻里も莉子も保奈美ちゃんもいる。
けれど、本当に直也くんを理解し、最後まで支えられるのは私だけ。
彼の優しさも、強さも、そして弱さも――全部受け止められるのは、私しかいない。
その上で、天使な保奈美ちゃんは義妹としてずっと私が大切に育てる。私と直也くんの大切な「妹」に相応しい相手を私がきちんとチョイスするわ。
この世界で直也くんの次くらいに素晴らしい男性を保奈美ちゃんの為に、私が責任を持って厳選する。保奈美ちゃんを何としても幸せにしたいの。
だから――絶対に負けない。
同盟?そんなもの、機が熟したら破るだけ。
玲奈を出し抜いてでも。由佳さんを抱き込んででも。
私は、『一ノ瀬直也』を手に入れる。
それが、私の選んだ未来。
誰にも譲らない。
直也くんは私のものよ。
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