雪原に咲く花
真っ白な雪原に、花を咲かせていく。
一つ、二つ。
私は作業をつづける。周りには、草木以外に、生物はもう何もいない。
とても静かな場所だ。
何気なしに、口笛を口ずさみながら。
口ずさんだ口笛の旋律は、はて、なんだっただろうかと考える。
それは、一昨日たまたまネットで見た、アイドルグループの新曲だった。
昔から、歌を覚えるのは得意だった。
覚えるというより、入ってくる、という感覚だろうか。
気が付いたら、鼻歌を歌う、口笛を吹く、よくあることだった。
一度見ただけなので、頭から最後までは覚えてはいない。サビの部分だけだ。
そのサビの部分を繰り返し繰り返し口笛で口ずさみながら、
私は雪原に赤い花を咲かせていく。
一つ、二つ。
その花は、一昨日見たグループアイドルが、ダンスでターンを決めたときに、
スカートがフワリと広がって、まるで花が咲いたみたいに見える様子を連想させた。
美しい映像だった。
私が咲かせる赤い花は、彼女たちの新曲リリースのお祝いになるだろうか。
いや、喜ぶわけないか。私は自嘲する。
私は作業を続ける。真っ白な雪原に、赤い花が咲いていく。
一つ、二つ。
私の奏でる口笛に、ときどき、鈍いノイズが混ざりながら、
真っ白な雪原に、赤い花が咲いていく。
短編集「バレンタインデー」 春野日差 @harunohisasi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。短編集「バレンタインデー」の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
近況ノート
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます