2つ以上3つ未満

「え、その、意外でした」

狩野は終電を逃し、上司の車に乗ってた。

「ああ、あの本がか。」

「嗚呼!すみません運転中に」

その後 貰ったジャスミン茶の水滴を飲み干した。

上司は何も言わない。

狩野は、本当に無表情だな……と思い、後ろの席に座ってた。

ふと窓枠を見た。 夜、目的地は一緒なのに 景色が全然違う蜃気楼 。仕事をしてる階は高いが、なかなかまじまじと見ることは無かった冬でさえ無視していて、雪が降る確認特に感動も覚えなかった。

「綺麗か。」

蜃気楼に見とれ、いきなりの声に驚いた。

「綺麗なところを通ってるな。」

「蜃気楼ば好きですか?」

「まあな。」

会話の内容は、特に何も思わなかったが

この人は……唐突に間髪入れず話す人だった。

狩野は、再び蜃気楼を見た。

「壮大になった景色に見えますね」

つい口走った

「いつも狭い住宅街通ってるのか?」

「はい、 というかそんなに好きなんですね……ビルの景色も…………本も」

「どっちも好きだ。」

ミラーで見ると本当に無表情 すこし微笑む


悪い時間ではなかった


お互い発見がふたつ以上。


つづく

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