IラブHero(カッパ)! 第4話

BGM【タイトル】


朔太郎「IラブHero(カッパ)! 第4話」 ※ 読み方(アイラブヒーローカッコ、カッパ)


○教会


王妃 「汝、アレイ・ギルバートは、このカッパ、ダース・ピーターを妻とし、きゅうりの出来が良き時も悪き時も、きゅうりの収穫量が富める時も貧しき時も、きゅうりの健康状態が病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、カッパを想い、カッパのみに添う事を、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」

ギル 「どんだけきゅうり!? 無理です。てか王妃様、なにしてるんですか!」

王妃 「ギル。今のあたくしは教会の神父。話しかけてはいけなくてよ」

ギル 「どこの世界にボディコンスーツを着た神父がいるんです!」

王妃 「ここにいるわね。さて気を取り直して。汝、ダース・ピーターは、以下略。誓いますか?」

ピータ「誓います」

王妃 「では、誓いの口付を」

ギル 「待って! 待ってってば! 無理だって言ってるのに」

エクセ「往生際が悪いぞ。ピーターと結婚できるのに、なにが不満だ」

ギル 「不満だらけだよ。どうして出会ったばかりのカッパと結婚しなきゃいけないのさ。ちょ、羽交い絞めにしないで! 離してよ」

ピータ「ついに、この仮面を外すときがきました」


SE《南京錠が開く》 ×3 なんだかでかいものが開く


ギル 「イヤイヤイヤ、カッパは嫌ぁ!! (気づく)あ! でもスイマーさんが見た目普通って事は、ピーターも普通?」

ピータ「ふぅ。熱かった」

ナレ 「仮面を外したダース・ピーター。彼女は、それはもんのすごい美少女だった。が!」


SE《おどろきの音》


ギル 「なんかカッパのクチバシついてる!? え、なんで? 普通に口があるのに、どうしてクチバシつける必要があるのさ」

ピータ「(ちょっと照れて)口付をするなら必要かと思いまして」

ギル 「要らないよ! むしろ、そんな尖ったものと口付したら刺さるよね」

エクセ「よし、ピーター。よくやった! そのクチバシでコイツを刺し殺せ!」

ギル 「目的変ってない!?」

ピータ「ギルバート様。永遠の愛を誓っていただけますか?」

ギル 「無理だよ! 君たちには協力するから結婚はやめようよ。君だって好きでもない人と結婚したくないでしょ? 種族違うし」

ピータ「……あなたはお優しいのですね。でも、わたしにも引けない事があります。あのメカカッパを壊すには、どうしても他種族の方の愛が必要なんです」

ギル 「どういう事?」

王妃 「カッパとは生と死を司る神の使いよ。ギルバート、聞いた事はなくて? しりこだまを取られると溺れ死ぬって」

エクセ「だから他種族との愛の力でメカカッパを壊すしかないんだ」

ギル 「そ……ん? 今いろんな説明抜かしたよね! どこから、『だから他種族との愛』って文に繋がったの? 意味通じないんだけど」

エクセ「(悔しそうに)俺も妹を犠牲になんてしたくない。だが、事は一刻を争うんだ」

ギル 「一刻を争うなら、スイマーさんが王妃様と結婚したらよかったんじゃない?」

エクセ「あー……まー、人妻はちょっと」

ギル 「いま目を逸らしたよね!」

エクセ「ええい、往生際が悪いぞ。さっさとピーターと結婚しろ!」

ピータ「さぁ、ギルバート様。誓いの口付を」


SE《掃除機で吸う音》


ギル 「す、吸われる? クチバシに吸われる、吸い殺される!!」

ピータ「大丈夫ですよ。3分で済みますから」

エクセ「(ちょっとテレながら)誓いのキスにディープキスか。大胆だな、ピーター」

ギル 「誰も見たがらないよ、結婚式のディープキス! てか近い近い! い、やだぁあ!! も、助けてよ、誰でもいいから、伊藤! 姫様、サク先輩ー!!」

ナレ 「ギルバートが叫んだその瞬間、都合よく天使が現れた」


SE《ドラゴンボールとかでよくある瞬間移動の音》


伊藤 「ギルバートの叫びにより、カッパ愛好会会長、エンジェル伊藤、ただいま推参!」

王様 「同じく、カッパ愛好会副会長、なんちゃって・トメ吉。ただいま、けんざ――」


SE《ドラゴンボールとかでよくある瞬間移動の音》いっぱい


姫様 「おっと?」


SE《踏む》


王様 「ぐ!」

朔太郎「む?」


SE《踏む》


王様 「がはっ!」

王佐 「よっと、でございます」


SE《踏む》


王様 「(痛みに耐えながら)お、おぐほぉ……」

伊藤 「よし、つきましたね。それじゃみなさん、せーの」

一同 「我ら、カッパ戦隊、河太郎(読み方:かわたろう)ジャー!」(好きなテンション、スピードで言ってください。音を組み合わせたとき、バラバラになるほうがいいです)

ギル 「バラバラだね」


SE《戦隊モノとかでポーズが決まるときの音》


朔太郎「(小声で)河太郎とは、なんでござるか」

王佐 「(小声で)カッパ太郎がなまってできたカッパの呼び名の一つでございますです」

王様 「わ、わ、ワシを踏むでないバカ者ども! はやく退かんか!」

姫様 「踏まれて喜ぶ。〔冷笑〕流石、なんちゃってドMアルね」

王様 「ワシの名を勝手に改名するでないわ!」


BGM【切ない音楽】


王妃 「あ、あ、あなたぁ!?」

王様 「げげ!! デラックス、何故ここに?」

王妃 「メカカッパを壊すためよ!」

王様 「な、何故じゃ!?」

王妃 「あなたがカッパを愛しているのは知っていてよ? けれど、やっぱり納得いかなくてよ、ロボットにあなたの愛を奪われるのはっ!」

王様 「(ちょっと感激して)デラックス……」

王妃 「嫁いだときより、あたくしの心はあなたのもの。けれど、あなたの心は、あたくしになびかない。ええ、分かっていてよ。あたくしに魅力が足りない事は。頭に皿はないし、水かきだってない。くちばしは黄色くとがっていないし、極めつけにあたくしは、カッパじゃない!」

ギル 「いくら愛のためだからって、人として大事なものを捨てちゃ駄目です!!」

伊藤 「愛って壮大ですね。私、泣けてきちゃいました」

朔太郎「〔鼻をすする〕拙者もデラックス殿のように、真に想える人と出会えるだろうか」

伊藤 「いつか出会えますよ。きっと」

朔太郎「そうでござるな」

ギル 「なんかいい話って感じでまとめないでよ!」


BGM・STOP

SE《殺気》


ギル 「ひぃ!」

姫様 「くそ親父とマミーは置いといて。ギル、ワタシの許しなくカッパと結婚、どういう了見ネ!」

伊藤 「あ、そうでした。ギルバート、あなた私を、ひいては天界を敵に回すつもりですか?」


SE《武器の音》


伊藤 「私、カッパが絡むと凶暴になりますよ?」

姫様 「ワタシの拳、味わってみるアルか?」

ギル 「ピーター離して、お願い! 殺される! むしろ潰される!」

ピータ「でも」

ギル 「必ずメカカッパは壊すから! 約束する、絶対に」

ピータ「……分かりました。ギルバート様がそこまで仰るなら」

エクセ「ピーター!」

ピータ「いいんです、兄様。これ以上は無理強いできません」

王佐 「そもそも、何故ギルバートはカッパ様と結婚する事になったのでございますです?」

ナレ 「カクカクシカジカ、という訳なんだよ」

一同 「なるほど」

ギル 「って、どうして普通に会話に入ってくるのさ! ナレータならナレータらしくしてなよ」

ナレ 「いや、ほら自分、擬人化携帯ってヤツですから」

ギル 「ここにきてネタバレ!?」

朔太郎「つまり、メカカッパが原因でノストラ・ティラノザウルスの予言が現実のものとなる、そういう事でござるな」

ピータ「はい。メカカッパをとめるには他種族、つまりは人間との間に愛を育み、その聖なる愛の力でメカカッパを倒さなくてはいけないのです」

伊藤 「(恍惚と)はぁ、ラブパワー、素敵ですね」

姫様 「(羨ましそうに)乙女なら一度は憧れるシチュエーションアルな」

ギル 「そんなに可愛いものかな」

伊藤 「っは! で、でもでもそれってつまり、メカカッパを壊さないといけないって事ですか?」

王様 「なに? 嫌じゃ嫌じゃ! せっかく民衆からぼったくった国税で作った最高傑作なのじゃぞ!」

ギル 「ぼったくってんじゃないですよ!」

王佐 「そんなお金があるなら、王宮のセキュリティーゲートに使用するキュウリを買ってほしいでございますです!」

朔太郎「3つまとめ買いで85円でござる!」

ギル 「そこ、変にキュウリをプッシュしない! てか、キュウリに国税を使わないで! ゲートのバーにお金回すなら、一から作りを考えよう。せめてキュウリはやめようよ」

エクセ「キュウリのゲート、あれは美味かった」

ギル 「かじったのは君か!!」

姫様 「ああもう、話がややこしいアル! とりあえずメカカッパを潰す、これでヨロシ?」


SE《キャノン砲発射》


加藤 「そうはさせねぇぜ!」

伊藤 「あなたは、エンジェル鈴木!?」

加藤 「加藤だ、加藤! わざと間違えてんじゃねぇよ! やれ、メカカッパ!」

カッパ「カッパー、カパ!」 ※いいの? えい!


SE《キャノン砲発射》


朔太郎「姫、あぶない!」

姫様 「ちっ、間に合わないアル! 仕方ない、捨て身、トメ吉フィールド展開!」

王様 「なんじゃとぉ!? 待て、ワシはまだ死にたくは――」


SE《ジュウ》《ポテ》


王佐 「陛下ー!」

王妃 「あなたー!!」

朔太郎「む、むごい。姫の盾になったトメ吉殿が黒焦げに」

ギル 「今のは盾にしたって言わない?」

姫様 「ふぅ、よし、これで邪魔者は消えたアルね。そこのテンシ、鈴木! なにか用アルか?」

加藤 「加藤だって言ってんだろ! お前ら、このメカカッパを壊すとか言ってやがったな。だが、そうはさせねぇぜ?」

ピータ「機械のカッパは自然の調和を崩すんです!」

加藤 「ああそうかよ。だがな、命あるモノを無下にはできねぇだろ? 神は等しく命を分け与えた。その重みは、この星に生きとし生けるモノ全てに平等だ」

エクセ「では神は俺たちに死ねというのか? メカカッパによるエントロピーの増加を見過ごせと?」

加藤 「そうは言ってねぇ。だがよ、カッパ共、お前らちょっとばかり図々しくねぇか? 機械に魂は宿らない、だから生きてはいない。そう思ってるようだが、こいつには感情があり、理性がある。生きてんだよ」

エクセ「そんなバカな。機械が生きてる?」

加藤 「ああ、生きてる。そしてなによりこのメカカッパは、俺のダチだ。ダチが殺され――」

姫様 「アイヤァ!」


SE《攻撃》《攻撃を避ける音》


姫様 「〔舌打ち〕外したアルか」

加藤 「話、聞けよ!!」

姫様 「話、ごちゃごちゃ面倒くさいネ。原因、そのメカカッパ。なら原因取り除く、これ当たり前ネ」

加藤 「ここじゃ、分が悪いか。んじゃ、このガキをもらって行く」

ピータ「きゃあ!」

エクセ「ピーター!」

ピータ「兄様!」

エクセ「待て、お前、ピーターをどうするつもりだ!」

加藤 「ただの人質だ。ギルバート、コイツを返してほしければ3日後、カッパ砂漠へ来い。そこで決着をつけよう。じゃあな〔高笑い〕」

ピータ「兄様、ギルバート様ぁ!!」

エクセ「ピーター、ピーター、ピーターぁ!!」

伊藤 「……加藤、あなた、どうして」

ギル 「3日って長くない?」


BGM【次回予告】


朔太郎「次回予告。IラブHero(カッパ)!!」

ナレ 「エンジェル・加藤にさらわれたダース・ピーター。彼女を助けるべく人間たちは立ち上がる。種族の壁、自然界の摂理、突っ込みきれないボケ。果たして、ギルバートは真実の愛を貫き通す事ができるのか。メカカッパは壊されてしまうのか!? 次回も、乞うご期待! ちゃんと聞かないと、キュウリ漬けにしちゃうぞv」


BGM・STOP

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