旅路

葉が揺れ、涼しい風が吹く森を歩いていると、爽やかな旅路を祝ってくれているような気すらしてくる⋯はずなのだが⋯

街を出てから半日、憂鬱な思いを抱えていた

今、俺達は丸太に座り休憩している

「⋯⋯ごめんな、珈琲淹れれなくて」

焚き火用の枝を折りながらに聞く

「気長に待ってるよ」

「街に着いたらセット買って淹れるからさ」

「⋯パスポートあるのか?」

「⋯あっ」

パスポート貰ってない⋯

本来は門番を通じて他の街へと連絡をとって、許可が降りればパスポートが発行されるしかし俺は門番を通さず街の外へと出たため、他の街に堂々と入れず、事態が収まってもルクスには帰れない⋯

「⋯どうした?気分が優れないか?」

許可なく街に入るのは違法だ、つまり⋯

「俺達⋯犯罪者として生きていこうな」

「⋯貴様の珈琲が飲めるならどうでもいい」

「ありがとな、ルシ」

よし、気分を切り替えよう

頬を軽く叩き、鞄から地図を取り出す

「海を通るルートは行けないから⋯」


ここから行ける街は3つか⋯

色、機械、愛⋯

だけど愛は紛争してるから論外で⋯

機械⋯


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


声が聞こえる

助けを求める叫びだ

眼の前で斬られていく友達、知り合い

道に内蔵が飛んで、一瞬で街は赤く染まった 

1人の男が俺の髪を掴んで持ち上げる


「逕溘∪繧悟、峨o縺」縺ヲ莨壹>縺ォ譚・縺」


聞き取れない機械音

男の手には高速回転する歯車が付いている

その手がゆっくりと首に⋯向かって⋯


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「⋯い⋯」


「⋯おい!」


ルシの声で我に戻る

「あ⋯ごめん、ぼんやりしてた」


まぁ⋯消去法で色だな

地図に印をつけ、コンパスを確認した

ここから南東へ進めばすぐに着くはずだ


「やっと目的地が決まったか⋯」

呆れた目で見られ、苦笑いで答える

「ルクスから離れること優先だったから⋯」

「幾らでも悩め、人生は長い」

流石カミサマ、達観してらっしゃる

「まぁ今日はもう遅い、ここで野営しよう」


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信仰深き世界に向けた一杯 ミト @kayokoaisiteru

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