グレフルのような、恋をした。
@kontaro_myselfcleation
プレエピソード 完熟しきらぬ卒業生
preEPミノリ編『臆病なオレの第一歩』
オレはミノリ。
幼い頃のオレは弱さしかなかった。
泣き虫で逃げてばかりの子どもだった。
同い年の男の子と目を合わせることも
一緒に話すこともできなかった。
カラスが鳴いただけで
飛び上がり転んで泣きじゃくった。
ミノリ「痛いよ〜っ!!
え〜ん!母さん!」
エミ「もう…ミノリは大の弱虫さんね。」
「来週月曜日から
ワタシが仕事してる間
保育園でそこのみんなと一緒に
待っていて欲しいんだけどね。」
そんなオレにも
支えてくれる仲間がいた。
ミノリ「ぶ〜ん……
ぶ〜ん ……」
スズメ「ミノリくん、
一緒に今日のお遊戯しよ!」
その出会いが臆病なオレを
少しずつ変えていった。
ミノリ「困らせちゃうかもばかりじゃ
誰とも仲良くなれないな。」
「オレ、
みんなに頼られる人になる。
そのためにテスト頑張るよ。」
スズメ「それっいいじゃん!
応援してるよ!」
そして…
ミノリ「90点!?やった!」
スズメ「良かったね!」
自分の限界を自分で決めて
足や口を止めていた日々は
ほろ苦かった。
周りの人との出会いと経験を重ね、
なれないと思っていた
頼られる存在に成長できた。
そうして手に入れた幸せな日々は
なんというかほろ苦くなくて、
甘酸っぱい。
ミノリ「ありがとう、スズメ。
オレ、これからも頑張るよ。」
そして、
この春に高校生になるオレを待っていたのは
誰よりも美しく優しい少女との日々だった。
preEPナオト編『崖っぷちなオレの叫び』
オレはナオト。
ミノリとは中1のころから
共に日々を過ごしてきた友達…
…のはずだ。
だがミノリは
いつも明るい表情で接してくれるし
成績優秀で女子にも慕われる。
オレはといえば
勉強もダメで女子とも縁がない。
同級生「ミノリくん…
ワタシ高校違うけど
ずっと応援してるからね!」
…。ミノリ、
また女子としゃべって
楽しそうにしてる。
それも、オレの目の前でさ。
ミノリ「ありがとう。」
卒業式終わりの昼下がり
周りに笑顔を振りまくミノリが
こんな言葉を発した。
ミノリ「もう中学卒業!?
あっという間だなぁ。」
「成績も申し分なし!
いろんな女子にモテるし
毎日ホントに最高!」
『けど中学入った頃の目標は
恋愛を楽しむ。なのに…
告らずにここまで来ちゃった!!
目標未達成だなぁ。』
その瞬間、
オレの世界とミノリの世界の
大きな違いが浮き彫りになり
嫉妬や劣等感や不安感を抱いた。
ナオト「はっ!?」
対等な友達と思ってないな!
そうじゃなきゃ目の前で
あんな言葉出ないよ!
オレのテスト対策もゲームの話も
邪魔すんなよって思いながら
テキトーに返事してるのかな。
…っていうかそうだろ?
ナオト「おいおい、
何独り
「オレの目の前で
大声でなんてこと言うんだ。
オレは邪魔か?」
ミノリ「あっ…」
ミノリはオレの顔を目にして話を止めた。
ミノリ「…ごめん。」
ナオト「恋愛できてない?
女子友達いるのに
恋愛感情を口に出せてない
それだけだろ!」
ミノリ「いつもよりすごく不機嫌だな。
どうしたんだ?」
「ナオトはオレの
中学からのズッ友だ。」
口がポカーとしながらうつむいたら
ミノリのカバンの中に
チョコの銀紙が2枚見えたとき
嫉妬は怒りになった。
3月後半にチョコ?
バレンタインのときもこうだった。
ホワイトにしては遅いけどな…。
ナオト「ホワイトデーか何かか?
またチョコもらえたのか?
最強ポジ貴族確定じゃん。
オレはチョコゼロなのに。」
ミノリの言葉と状態のギャップ。
ミノリ「最強ポジ貴族!?
てか…嫉妬ばっかやめろよ。」
ナオト「女友達も卒業祝いもないのに
そりゃ嫉妬しちゃうよ。
ってか…これのどこが
恋楽しめてない!だよぉ…」
ミノリはオレの何倍生きてんだ?
どうやったらオレは…
何回生まれ変わったらオレは…
ミノリみたいになれるんだ?
ナオト「あぁっ…
自分で自分が情けなく思えるっ…
なんでミノリは…なんでオレは…」
ミノリ「ナオト…そんなことないよ。」
「前までは
勉強も恋もどうでもいいって
感じだったのにどうしたんだ?」
オレは自分の中での
中学と高校のイメージの違いを伝えた。
ナオト「中学ってさ低得点でも
ある程度見逃される
義務教育だろ?」
一年間頑張りましたねぇ〜
では来年から皆さんは〇年生!
がんばってくださいねぇ〜!
「でもこれからは
コート―教育ってヤツ。」
不合格なら来年も〇年生です!
覚悟してテストに励みなさいっ!
「下にバカにされ!
挙句の果てに追い越され!
後輩だった人にマウントされ!
なんてこともおかしくない!
それが怖いんだ!」
待って…
中学で低得点ばかりを取り続け
驚かれバカにされ続けてきた…
勉強はしてたけど報われなかった…
中学で挽回して他のこと忘れて
勉強を必死にしてもよかったか…
嫉妬と劣等感で自信をなくしているオレに
ミノリが優しく丁寧に教えてくれた。
ミノリ「勉強うまくいってんのに
恋愛がいい感じなのに
ってときはあるよな…」
「あれできるからこれできるとかの
イコールではないし難しいよな。
心配しすぎんな!」
「オレだって生まれつきの
天才モテ男とかではない。
難しいものは難しい。」
…と聞いたとき崖っぷち人間として
思ったことがあった。
ナオト「そうなの?
何回目かの生まれ変わりで
オレが全てだ!…みたいな?…
そんなのじゃねえのかよ。」
ミノリ「ナオトにはオレが
どう見えてんだ?」
「オレだって苦痛と努力で
モテモテの成績トップになれたんだ。」
「テストの点数とか
ナオトにないものよりも…」
「やりたいことにまっすぐな心とか…
たくさんの面白い話とか…」
「ナオトにあるもの
オレにとってホント羨ましい。」
ナオト「オレのことそう思ってたの?
なんだか照れるな。」
オレが話を聞いて気持ちを戻して
顔をあげ真ん前を見かけた。
ミノリ「それに…知ってるか
百野花高校の赤点は20点。」
「どんな人も共に
勉学に取り組める環境を目指した
百野花高校ならではの特徴。」
「平均点とかで変動もしないし
オマエでも大丈夫。
保証はできないけど…」
オレは首を傾げたけど苦笑いした。
オレは20点とれる頑張り屋なのかな。
同じ一つのものに感じることが違って
当たり前。
ミノリがオレの頑張りを
応援してくれてるんだ!
ああだこうだ言うより
理解し合うほうが気持ちがいいな!
と気持ちを改めた。
ナオト「わかってるよww
2割だもんな!頑張るよ!」
ミノリ「良かった。」
話に区切りがついたオレ達は
中学校に別れを告げた。
preEPユウハ編『無気力なオレの希望の光』
オレはユウハ。
ミノリとナオトの共通の友人だ。
小学生の頃は勉強も恋愛も
何もかもに心を燃やす努力家だった
が…
なんか真面目すぎて一緒にいても
ワタシの入りどころないよね。
…と恋人に告げられ別れたことで
必死さは逆効果になると知って
心が燃えることはなくなり
人にひかれないように
他人との間に見えない線を引いた。
それでも、
中学で出会ったミノリとナオトは
オレの線を軽々と超え
ありのままのオレを応援してくれた。
中学の卒業式の後ミノリとナオトは
街中の小さなゲームセンターにいた。
レトロなゲームの機械の音が絶えず響く。
カラカラカラ…ピンポーン…。
ナオト「やっぱ落ち着くなぁ。」
ミノリ「それ現実逃避じゃねえか。」
ミノリがスマホの
待受画面の17時の表示を見て
リュックを軽く握り少し考えこむ。
ナオト「どうした?」
ミノリ「もう夕飯前の自主勉の時間だ。
どうしようかなぁ〜」
「オマエは帰らなくていいのか?」
ナオト「夕飯前に自主勉!?
今日から春休みなんだし
少しは帰り遅くてもいいだろ?」
一瞬だけ首をかしげ悩んだミノリだが
ナオトの顔を見て微笑んだ。
ミノリ「そっか春休み…だな!」
ナオト「だろっ!よかったぁ。
現実逃避できずに
家帰らされなくて。」
ナオト「よーし!
勉強と恋で負けるオレだけど
ゲームで勝ってやる!
このモヤモヤを晴らす!」
ミノリ「やりたいこととか得意なことで
オレにはもう負けていないよ。」
ミノリ「…そういやユウハは
何してるだろうな。」
ナオト「あいつもゲーセンに来て
必死にメダル獲得まで
粘ってたりして。」
「けど…また時間あるときでいいや、
中学どうだったかって聞こ。」
「アイツの方が
オレなんかよりは
充実してそうだけど。」
やがて二人は大型のメダルゲームの前にきた。
ナオト「メダル入れるぞ!」
ミノリ「ああ!」
広がるメダルの海。
目を輝かせ同時に両端に1枚ずつ
二人がメダルを入れた。
ミノリは大当たり!77枚メダルの波!
メダルがびくともせず獲得数0枚のナオトは
どのゲームでも当たりが出なくて
メダル獲得口もメダル入れもからっぽ。
ズボンポケットに浮かび上がる手。
ミノリ「ナオト、
もうメダルないのか?」
ナオト「あると思ってたのに…
ミノリは溜まっていってんだろ…
運ついてるからだろ…」
ミノリ「…うん。かもな。」
ナオトは勉強やゲームだけでなく
運のなさにも不満を抱き始めた。
ナオト「女子も運もついてこない
オレと違ってオマエはいいな。」
「ついてくる側に
生まれたかったなぁ…」
話を聞いていたオレは柔らかな声で話しかけた。
ユウハ「よっ、ホントにそうだよな。」
ミノリ「ユウハ!どこにいたの?」
ナオト「急に話しかけてくんなよ!」
ユウハ「二人がいつもと違う話してるから
気になったんだ。」
「それでいうけどナオトと同じくらい
ミノリにだっていろいろはあるはずだ。」
ミノリ「まあな。
それがなけりゃオレも
今より少しは楽なんだけどな。」
ナオト「ウソだろ?ないだろ?
いいよなぁ〜モテる人って…」
すると二人の口から同じ言葉がこぼれた。
二人 「それにしても
早く告白してぇ〜」
ミノリ「えっ!?あっ…そうか…」
ナオト「えっ!?…一緒なの!?そうなの!?」
ミノリの顔が明るくなった。
ミノリ「女子に打ち明けたいオレと
モテる人になって付き合いたいナオトは」
「目指してるとこが
女子と付き合いたいってので
一緒!じゃないか?」
ナオト「うん…そうか!だけど
やっぱオマエのほうが
ゴール近い気がするなぁ!」
ミノリもナオトも笑顔になった。
ミノリ「違うとこよりおんなじとこ探さないか?
分かりあえて気持ちがいいし
たくさんあるはずだ。」
「だから一緒に頑張ろう!
メダル半分やるよ。」
ナオト「ありがとぉ〜!!
これがモテと崖との違いかぁww」
空っぽのメダル入れに
大量のメダルが入りナオトの目が輝く。
ナオト「これで一回でもいいから
大量メダル当てるぞ!」
ユウハ「…。あっ…オレにも分けて!」
笑顔になってく二人の言葉に
オレは頷けなかった。
ユウハ「けど…二人のその目標
オレは賛同できないな。」
「告白経験あるけど
モテたいとか思ってのじゃないし…」
「…相手に合わせようとしすぎると
自分と周りがわからなくなるんだ。」
ナオト「え?どういうこと?
告りたくねえの?
なんで?」
「誰かと付き合うってそんなに嫌?」
ユウハ「…誰かと一緒なのが
嫌というか…。」
ナオト「そういえばミノリには
幼馴染のスズメだっているよな。
告れば良いんじゃないの?」
ミノリ「スズメ?…スズメは
これまで同じ学校を辿ってきた
幼馴染の友達…」
「…けどそれ以上を
考えることが無いなぁ…」
ナオト「女友達でそんな感じなの?
恋ってホントわかんねぇ〜…。」
ユウハ「それにしても
ミノリってモテてるわりには
意外と謙虚だよな。」
「きっぱりと告白したほうが
楽だと思うけどな。」
ミノリ「こんなオレでも未だに
自信を持てないんだ。
これでいいのかなって思ったり
関係の悪化を恐れたりでさ。」
「だから二人とそんなに変わらないよ。」
ユウハ「ならなんでそんな状況で
女子との続けれるのか不思議だ。
お互いの人生を賭けてるみたいで
オレは嫌だな。」
するとオレとミノリの話は次第に
ナオトの踏み込めない話の領域に
迫ってきた。
ミノリ「恋愛って一人では楽しめないこと楽しむ
推し活みたいなのじゃないか?」
ユウハ「違うだろ!日常の延長線上だ!
近づけて引き離してとかするの
一緒にいたい相手に迷惑だ!」
すると、ナオトはこんな質問をしてきた。
ナオト「うん〜っ…
というか恋愛ってなんなの?」
「友情と何が違って
必死になるのなんでだっけ?」
「勉強も恋愛も
わかんないことだらけだ。」
ユウハ「そういえば友情ってどこからが恋かって…」
ミノリ「…確かにスズメが特別な存在か決める前に
特別な存在って何かって…」
「オレも考えたことないけど
ただ好きな人が笑っててくれたら
それでいいのかも。」
「でも、オレはそれでも
恋っていうのしてみたいな。」
ナオトはさらに口にした。
ナオト「それと…。
オマエらは恋愛がとか目標がとか
話せる余裕あっていいよな。」
「勉強も恋もできないオレは
同じ世界へのドアノブが程遠いよ。」
その表現にオレとミノリは思わず感心した。
ユウハ「ドアノブか…。」
ミノリ「ドアノブ…って言葉使ってくるのが
恋を理解できなかったとしても
すごいよ。」
ナオト「そうかな?」
ミノリ「ドアノブって話
実はオレも前から感じてる。」
「自信なかった幼いオレの手を
ドアノブに導いてくれたのが
実はスズメなんだ。」
ミノリにもそんな時期もあったんだな…。
ミノリとナオトだけでなくスズメも含め四人全員、
百野花高校への入学が決まっていた。
ナオト「このまま高校行って勉強も恋愛も
みんなについていけるかな?」
ミノリ「まっ…オレもユウハも未熟だし
なんかあったら今みたいに話そうよ。
三人いれば何とかなるだろ。」
ユウハ「そうだな、というか…
…完成するときは来るのかな?
じゃあ、次は入学式でな。」
=====
高校生活はミノリ達にとって
新たなスタートラインだった。
勉強、恋愛、友情、
そして自分自身を見つけること、
どれも簡単ではない。
それでも未完成な彼らだからこそ
それぞれの一歩には特別な意味がある。
そして月日が経ち
桜が舞い散るなかで
百野花高校の新たな制服の
ミノリは胸を小さく弾ませ…
ナオトは深呼吸をし笑みを浮かべ…
オレは静かに桜の香りを味わいながら…
…入学式の看板のある門をくぐった。
この春、彼らの青春の1ページが、
静かにそして力強く
めくられていくのだった。
この物語は彼らが
新たな生活や出会いのなかで
新しい自分たちに出会っていく
ほろ苦くて甘酸っぱい青春の物語である。
初めてのネット公開作品第一巻です。
計12巻60章ご愛読お願いします。
ⒸKontaro2025
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