第17話 大戦争


 天音(北斗)は乙姫様に玉手箱を渡され現世に戻ることが出来た。そして子供たちが勇ましく成長して正義感の強い勇者になった事で微笑ましく思っている。


 🏯🌊🪸

 一方の常世国の龍宮城では、乙姫様が恐ろしい企てを考えて状況が急変していた。


 一体どういうこと?


 どうも……乙姫様がアクアマンに夢中になり浦島太郎に高額保険をかけ毒殺を企てたというのだが、本当なのだろうか?


「あんな老人とは1日も一緒に居たくない。何とか死んでくれないものか?」


 浦島太郎のおとぎ話は本来ならば、いじめられていた亀を助け、お礼に竜宮城に招待されるという何とも微笑ましい話。それなのに……こんなに歪曲されて😥……。


 こんな残酷な話ではなかった筈?

 まあ人間の心は移り変わるので……


 浦島太郎が玉手箱を開けて老人になった後、鶴に変身し、神の国で乙姫様と再会して結婚したと言う、何とも微笑ましいハッピーエンドとして語られているらしいが、夫婦と言うものは実に摩訶不思議なものであり、時の流れとは人の心まで変えてしまう。


 確かにいじめられていた亀(乙姫様)を助けてくれたので、一時は乙姫様は浦島太郎に夢中になったが、時の流れとは恐ろしいもので、乙姫様は玉手箱を開けて白髪頭の老人になった浦島太郎に辟易していた。


  室町時代の『御伽草子』以降に広まった物語では、乙姫様が浦島太郎に助けられた亀の化身であると語り継がれて、現代の浦島太郎の物語にもよく見られる。この物語では、浦島太郎に助けられた亀が美しい女性に姿を変え、竜宮城で乙姫となる。


 👸🐢👸


 海底アトランティスの王にして、ユーモア溢れるお調子者でちょっと短気なアクアマンは、海底王国アトランティス人としての名前はオリンで、地上での名前は養父の名前を頂いてアーサー・カリーである。


 すべての海の生物を操る能力に加え、その気になればナイアガラの滝を泳いで登る事が可能な凄技の持ち主で、更には水陸両生の海底人であるが、何と時速160キロで泳ぎ、人間の150倍の力を持つ、5億の海の民を束ねる王としての慣れない国務と、妻メラとの間に生まれた愛らしい息子の子育てに奮闘中。音波による探査能力も有している。

 またアクアマンの武器、トライデント、(三叉槍)は、津波や洪水を召喚し、雷を起こし、氷を生み出し、陸地を動かし、水を媒介にして他の惑星に一瞬で移動させる等の能力を発揮し、本来のトライデント、(三叉槍)の姿からグラディウス(剣)の姿に変形する機能まで有している強力な2種類の武器を1つの武器として組み合わせる機能があるトライデント。


 それは誰が見てもよぼよぼの浦島太郎より、海底王オリン(アクアマン)に夢中になるのは分かる。乙姫様は最近はこの様な優秀な海底王オリンにぞっこんだ。


 ある夜の龍宮城の宴席での一コマだ。今夜も海底王オリンは海底王国の部下たちを引き連れて現れた。


「乙姫様は本当に美しい。今度一度2人だけでお会いしたいものだ。ふっふっふ」

 乙姫は思い人にそのような嬉しいお言葉を頂いて、益々高齢の浦島が疎ましい。


「それでも……わたくしには浦島と言う夫がおりますので、その様なことはできません。わたくしも本当はオリン様と1つになりとう御座います」


「ええええええぇぇええええええっ!聞き捨てならぬお言葉😃😍一体どういう意味ですか?」


「わたくしの夫は嫉妬深うございます。もしわたくしが欲しければ夫を一思いに殺してください。そうすればわたくしはあなたのものになりましょう」


「ええええええぇぇええええええっ!本当にですか?僕やる!やる!乙姫様と1つになれるのなら何だってします!」


 👸🐢👸


 ある夜の事龍宮城の周りには海底の狂暴な海の怪魚の大群が押し寄せ包囲した。


「乙姫これは一体どういうことなんじゃ?」


 その時だ。龍宮城の中に突如として巨大なホホジロザメが侵入してきて、浦島太郎目掛けて突進して来た。


「ギャ――――――――――――ッ!ったた助けてくれ――――ッ!」


 これは何事が起ったのか?このままではホホジロザメに一飲みにされてしまう。そう思った浦島太郎は龍宮の王である八大龍王の一尊「娑伽羅(しゃがら)」に命乞いをした。

「ハハッ……早く!早く!来て、来て下さい!ココッ殺される。た助けて下さい!」


 すると早速現れた龍王娑伽羅が海をかき分け勢いよく現れたかと思うと、ホホジロザメに巻き付き噛み切り食い殺し浦島太郎を救った。


 だが、相手も負けてはいない。するとその時狂暴なサメたちが、大群で押し寄せ浦島太郎と龍王娑伽羅の周りを包囲した。


「これは……これは……一体どういうこと?💦💦」


 恐怖におののく浦島太郎と龍王娑伽羅。だが、龍王娑伽羅も黙っちゃいない。


「任せて下さい。わたくしが強力な八大龍王をこの竜宮に招集致します」

 そう言うと龍王娑伽羅が巨大な鳴き声で叫んだ。「キュイーーーーン」という甲高い声で八大龍王様たちを招集した。


 するとその時海の彼方から巨大な龍王たちが、次から次に鋭い眼球を光らせ、炎を噴き出し、牙をむき出し、勢い良く水しぶきを上げて現れた。


「よくも勝手に龍宮城に侵入してきて浦島太郎様を襲ったな!許せぬ!💢💢💢」


 次から次に八大龍王は魚群を襲って懲らしめ退治して行った。とその時猛スピードで風のごとく海底王オリン(アクアマン)が現れて言った。


「貴様ら待った!俺様を誰だと思っている!俺は海底王オリンだ!容赦しないぞ!!!」


 そう言うと大群の海のツワモノたちを引き連れ現れた海底王オリン。見た事もない巨大な未確認怪魚やサメやワニやその他色んな魚群を束ね現れた。


 これから正に海底では恐ろしい大戦が勃発しようとしている。



 ※八大龍王は、水や天候を司る神様。仏教において仏法を守護する8体の龍神の総称であり。古くから人々の信仰を集めてきた。


 難陀龍王(なんだりゅうおう) 「歓喜」を意味し、八大龍王の筆頭とされ、優しくて力強いリーダー的存在。雨を降らせて飢饉から人々を救ったと伝えられてきた龍神。


 跋難陀龍王(ばつなんだりゅうおう) 「賢喜」を意味し、難陀龍王の弟だが、難陀龍王と共に仏法を守る強い絆の兄弟龍王と言われる龍神。


 娑伽羅龍王(しゃがらりゅうおう) 「大海」を意味し、龍宮の王であり仏教経典では、この龍王の第三王女である龍女が活躍するエピソードが有名。


 和修吉龍王(わしゅきつりゅうおう)智慧と調和を象徴し、 「婆素鶏(ばすけい)」とも呼ばれ、古代インド神話に登場する大蛇ナーガの王。ヒンドゥー教の中でも重要な神話の1つ。天地創造の乳海攪拌の物語にも登場する。


 徳叉迦龍王(とくしゃかりゅうおう)睨んだ相手を息絶えさせ、 強力な毒を持つ龍神とされている。


 阿那婆達多龍王(あなばだったりゅうおう)清浄や聖なる水源を象徴し、 「熱さがない」「清らかで静かな湖」を意味し、仏法をまもり、普及を助ける守り神とされている。

 摩那斯龍王(まなしりゅうおう) 阿修羅と戦い、城を守った巨大な龍王。


 優鉢羅龍王(うはつらりゅうおう) 青い睡蓮(青蓮華)が生まれる池に住まうとされる龍王。仏陀の紺青色の眼の美しさにたとえられる。



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