卵酒と芋焼酎🍶🥚

入江 涼子

第1話

 こんばんは。


 近況ノートに書いたりもしたが、改めて短編という形でお送りしたい。かれこれ、だいぶ昔になるが。

 今から、十五〜六年前になるか。私は当時、まだ二十代だった。若かりし頃の真冬の二月、しかも夜中に。何故か、寒気やら鼻づまりが酷くて。そいで、軽く風邪引いたか?と気がついた。

 少し考え、こう言う時は体を温めるに限ると思い至る。


(……んーむ、体を温めるんなら。生姜湯やろか?)


 冷蔵庫などを見て回ったが、生姜湯の袋はない。次に浮かんだのは卵酒だ。なら、いっその事作るかとなった。ザッとガラケーで卵酒の作り方を検索する。


 ……ふむ、卵を一個に。お砂糖、清酒かあ。作り方はまず、清酒の入った容器を鍋に張ったお湯で温めて。いわゆる湯せんだ。その間にボウルに卵を割り入れ、お砂糖も適量加える。泡立て器でかき混ぜて。清酒が温まったら、少しずつ加え、混ぜ混ぜする。

 ガラケーにはそんな作り方が表示されていた。再度、冷蔵庫などを探る。卵、お砂糖はあった。けど、清酒は残念ながらない。弱った。代用できるのはないんか?

 私はまた考える。そして、閃いたのは焼酎だ。冷蔵庫の一番下の棚を開けたら、まだそんなに減っていない芋焼酎の酒瓶が!

 しかも、大きな一升瓶だ。父が飲むために買ったようだが、少しだけ拝借する事に……。


 ここで卵酒作りを開始した。まず、湯呑みに芋焼酎をちょっとだけ、垂らして。お水で薄めて電子レンジで温めた。その間に卵やお砂糖をボウルに入れ、混ぜ混ぜする。ピーッピーッとレンジが鳴った。


「よし、入れてみよか!」


 小声で言いながら、温めた芋焼酎を卵液に加える。再度、混ぜたが。んで、マグカップに出来上がった卵酒(芋焼酎製)を注ぎ、一口飲む。が、あまりの辛さや苦味にせてしまう。


「……何これ、飲まれへん」


 呟きながら、何か良い手立てはないかと頭を働かせた。そこで浮かんだのは牛乳で。

 試しにマグカップの三分の一くらいを入れてみた。混ぜて飲んだ。


「あ、これは美味いわあ。ええかも」


 牛乳のおかげか、辛さや苦味もまろやかになった。しかもほんのりと甘味も加わったから、格段に飲みやすい。私は気がついたら、卵酒を全て飲みきっていた。

 そして見事に酔っぱらう。けど、体は温まったし。悪くないやん。そう思いながら、寝室に向かった。


 この後、また検索したら。外国にも卵酒によく似たものがある事が分かる。んで、レシピなどを確認した。

 卵とお砂糖、洋酒に。牛乳も加えるとあり、驚く。あー、ミルクセーキにお酒を加えるようなもんやったんか。道理で飲みやすい訳やわと納得した。

 また、ホットワインにオレンジの皮を摺って入れるとかも聞いた。スパイスも。これも日本で言う生姜湯や葛湯に近いかと思ったが。


 では失礼する。

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卵酒と芋焼酎🍶🥚 入江 涼子 @irie05

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