女子高生とその成長記録
詠
1
これから好きな人を振り向かせるために、半年間自分磨きをする。
好きな人と言っても付き合っている人だが、もう僕のことを好きではないらしい。あくまで憶測だ。本当のことはわからないし、こんなバカな僕に教えてくれるはずもない。半年間会えない間に、僕はもっとちゃんとした人間になれるように頑張っていく。半年後、大好きだよともう一度言ってもらうために。
まず1日目は、もう会いに行かないようにすると宣言した。向こうは今年受験生なので、これ以上迷惑をかけたくない。それに、その子は大きな悩みを抱えている。その悩みは大きすぎて、人間の底辺であるカスの僕にはなんともすることができない。
悔しいけど、僕はもう彼女の何にでもなくなってしまったらしい。好かれてもいなければ、信頼もされていない。僕のことなどもう興味を持たれていない。
毎日鬱と躁を繰り返して、正直もう生きた心地がしない。こんなになっても、まだ好きだけれど。そんなことはさておき、今一番苦しいのは彼女の方なので、僕が泣き言をほざく権利はない。口を慎もう。
では今日から「辛さを我慢する」ことを始めよう。リスカやOD、人に相談するなどの逃げ道はもう無くなったから、一生これと向き合うしかない。きっと想像も絶するほどの苦しさだが、僕が彼女に与えた苦しみに比べれば小さいものだ。大丈夫。
それから、「人に親切にする」ことも始めよう。この間部活へ行った時、親切心がないと言われたので、それも前向きに検討することにする。しんどそうな人を見たら助ける、困っている人がいたら声をかけるなどの簡単なことから始めていこう。
まだ諦められない。しんどそうな彼女を僕が絶対幸せにしてみせると誓った。喧嘩やすれ違い、鬱もリスカもODも、彼女がそれを何十回何百回何千回と繰り返しても僕は彼女から離れるつもりはない。いつでも一番近くにいて、いつでも一番の味方でありたい。
彼女が聞いたらきっともういい、聞きたくないと言うだろうけど、僕はずっと言いたい。僕はどうなってもいいから、幸せになってほしいと心からずっと願っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます