第2話目覚めと最初の仲間


転生してから7年。

俺は転生してからの情報を纏めてみた。

俺の転生先での名前はリューマ・リンドベルグ。

アルステリアという大陸にあるノーヴェスト王国という国の中級貴族の元に三男として生まれた。


「失礼しますリューマ様。お召し物をお持ちしました。」


「ありがとうミルファ。」


今俺の部屋に入ってきたのは専属メイドのミルファだ。

幼い俺の世話を嫌な顔一つせずしっかりとこなしてくれるとてもいい人だ。

ミルファに手伝ってもらいながら着替えた俺はそのまま連れられて食卓に行った。

食卓では、大きなテーブルを囲う様に俺意外の家族が揃っていた。

家族構成は父と母、そして俺の上に兄と姉が2人ずついる。

俺が椅子に座るのを見ると父が口を開く。


「来たな、リューマ。では食事をいただくとしよう。」


父の名はグラン・リンドベルグ。リンドベルグ家の現当主だ。


「リューマは小さいから、たくさん食べて大きくならないとね。」


微笑みながらそう言うのは母のレミス・リンドベルグだ。

そうしてみんなで料理を食べ始める。


「ところで、リューマは将来やりたいこととかはあるのか?」


「やりたいこと…ですか?」


俺に将来のことを聞いてきたのは長男のジレン・リンドベルグこと、ジレン兄さん。

ジレン兄さんはリンドベルグ家の次期頭首で、今は父さんの仕事を間近で見学し、勉強している。


「そうだ。俺は次期頭首として正式に父さんの仕事を勉強することになったし、リューマは何かしてみたいことがあるのかなと思ってね。」


「うーん…まだ外の世界をあまり知らないので、そういうのを知りたいっていうのはありますね。」


「なら、冒険者とかどうかな?依頼を受けるという形で世界各地を渡り歩けるし、ぴったりじゃないか?」


ジレン兄さんはそう言って微笑した。


「世界知るなら本を読むだけでも十分だろジレン兄さん。それよりもリューマ、騎士なんてどうだ?誇りを胸に命を賭して剣を奮い一生を終える。貴族の出として素晴らしいとは思わないか?」


そう言って俺に騎士を勧めるのは次男のガデス・リンドベルグこと、ガデス兄さん。

なんというか…脳筋みたいなところがある。

考えるより動け!みたいな感じの人だ。


「それはガデスの魔法の適正があまりないからでしょ。リューマなら、魔法士の道だってあるわよ。」


俺に魔法士の道を勧めてくれるのは長女のフィリア・リンドベルグこと、フィリア姉さん。

しっかり者の姉で、自分で言うのもアレだけどかなりブラコンだと思う。

このまえ俺が3歳のころに来ていた服をスーハーと吸っていたのを見てしまった。


「リューマはガデス兄さんみたいな脳筋にならないでね…?」


俺に脳筋にならないようお願いするのは次女のサーシャ・リンドベルグことサーシャ姉さん。

いつも明るく元気だが、ガデス兄さんと似てると言われることをとても嫌っている。


「冒険者か…」


俺の中では、ジレン兄さんの言っていた冒険者という職業が魅力的だった。

いつ死ぬかもわからないような職だが、自由に世界を渡り歩けるついでに依頼をこなしてお金も稼げる…いいな。

俺は食事を終えて自分の部屋に戻ると、机の引出を開ける。

そこにはカードの束があった。

転生する際に神様からもらった、モンスターを封じ込めて使役することができるカードだ。


「…せっかくだし、使ってみたいよね。」


俺は父さんにお願いして、護衛付きで外出の許可を貰った。

俺が住んでいるリンドベルグ邸の近くに、ガルダナ遺跡という遺跡があるのだ。

俺は護衛であるジェスにそこに行きたいとお願いした。

ジェスは護衛の中でもかなり融通が利くので行けると思ったのだ。


「ガルダナ遺跡に行きたい?…分かりました。少し近くで見るだけですからね。それと旦那様には内緒ですよ?」


「うん、わかった。」


そうして俺はガルダナ遺跡に向かった。

ガルダナ遺跡に着くと、俺はジェスの目を欺いてなんとか遺跡の中に入った。


「よし、なんとか行けたな…なんかこういう遺跡に強いモンスターとかいそうだな~と思って来てみたけど…何もないのかな?」


モンスターどころか罠などもない。

少々不用心すぎやしないか?

そう思いながら進んでいくと、どこからか声が聞こえた。


「…ん?声が聞こえる?」


俺が声のする方へ進んでいくと、その声はだんだん大きくなっていく。


「やっぱり、声が聞こえる…‼」


「おぉい…誰かいるのか?」


声の主は、魔法の鎖で縛られた幽霊のようなモヤだった。


「まさか、こんなとこに人が来るなんてな…」


「アハハ…前からここには行きたいと思ってたからね。」


「そうか…で、封印された哀れな魔神である俺様に何の用だ?」


なんとこの鎖で縛られていたモヤは魔神だったらしい。

魔の人じゃなくて魔の神で魔神だ。


「いや用…う~ん…まぁ相棒というか最初に使役するモンスターとか欲しいな~って思ってきたんだけど…」


「そうか…この封印を解いてくれるっていうんなら、使役されてやってもいいぜ。」


「え、いいのか⁉」


「あぁ。って言っても、そう簡単に解ける封印じゃないんだけどな。」


「どうやって解けばいいの?」


俺魔法とか全くできないから魔法を使って解くんなら諦めなきゃだけど…


「この封印を解くにはリンドベルグ家の血を魔力に混ぜ合わせて魔力の鍵を作る必要があるんだが…」


ん?今リンドベルグ家の血って言った?

ならもしかしたら解けるかも…?


「俺…一応リンドベルグ家の三男なんだけど…」


「そうなのか⁉よし、なら解けるぞ!」


「で、どうやるんだ?」


「まず体のどこからでもいいから血を流すんだ。」


「こうか?」


俺は近くにあった石片を使い、少し躊躇いながらも掌を切った。


「それでいい。そしたら鍵の形をイメージしながら魔力を流してそこに血を垂らすんだ。」


「なるほど…?」


とりあえず言われた通りにやってみた。

俺はかなり望み薄でやったが、できてしまった。


「これでいいのか?」


「上出来だ!じゃあその鍵を俺に向かって飛ばしてくれ。」


俺は言われた通りに魔力の鍵を魔神に向かって飛ばした。

すると鍵が魔神の体に刺さり、クイッと傾いて眩しい光があふれ出した。


「うわっ!」


俺が恐る恐る目を開くと、筋骨隆々で赤い毛と紫色の肌をした猿やゴリラの様な顔つきの魔神がいた。


「これが…本当の姿なのか?」


「あぁ、恩に着るぜ。俺は雷魔神ルヴァースってんだ。よろしくな。」


「俺はリューマ・リンドベルグ。」


「そうか、リューマ。早速約束を果たすぜ。」


俺は心の中で少し驚いてしまった。

なんか嘘ついて利用してるのかと心のどこかで思っていたからだ。

でも相棒が欲しい欲に負けて封印を解いてしまった。


「で、俺はどうすればいいんだ?」


「あ…あぁ。俺に従うことに同意するか恩を受け入れるかしてくれれば、このカードに吸い込まれると思うからそうしてくれ。」


「分かったぜ!」


「…でもいいのか?これもある意味では封印みたいなものだぞ。」


「いいんだよ。お前は昔俺を封印した奴とは違う。俺を助けてくれた奴だ。だから受け入れる。」


俺はルヴァースの言葉に、少しだけ涙を流してしまった。


「ありがとう。」


こうして俺は、雷魔神ルヴァースを仲間にした。


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転生貴族はカードを使った召喚士⁉ カンT @upqh9173

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