第5話

とある日の昼休み。

「あ…雨だ」ぽつぽつと窓ガラスに雨粒の形が分かると、桃子が言った。雨はどんどん勢いを増して、そのうち豪雨と化した。「みんなに伝えなきゃ」桃子は携帯を取り出した。


桃子『雨降ってきたねー』

夢子『ほんとだ!?夢子今気づいた!』

美苑『夢子ちゃん、気づくの遅いよ〜』

夢子『えへへ…』

ギギ『それにしても、今日は何処で集まるんだ?屋上と言うわけには行かないだろう?』

紡衣『別棟の使われてない教室借りる?』

桃子『いいね!』

美苑『使われてないのは第二学習室かな?そこならエアコンもあるよ!』

夢子『いいね、じゃあそこにする?』

桃子『そうしよう!皆そこに集合で!』


放課後。

「あ、涼しい〜!」教室に入ってきた夢子が言う。教室には既に桃子、美苑、ギギが居た。

「屋上はクーラーとか無いもんね。今日は不自由なく過ごせそうでいいね〜!」美苑がぐーん、と背伸びをして言うと、「そうだね、まだまだ外は暑いし!」と桃子が冷たい机に突っ伏して言う。

「みんなもう来てたんだね〜…うわ涼しっ!?」紡衣もやって来たが、教室の涼しさに身震いする。「寒すぎない!?」「ソンナコトナイヨ〜」「ある!風邪引いちゃうから設定温度もうちょっとあげなさい!!」「はーい…」


「ギギちゃん、なんで外を見ているの?」ふと、窓際に座っていたギギに美苑が声をかけた。

「いや…屋内での活動もいいものだが、少し寂しいものだと思ってな」「寂しい?」首をかしげる美苑に、紡衣が優しく声を掛ける。「ギギちゃんはきっと、外が恋しいんだね」「紡衣!そのとおりだ!」ぱあっとギギの顔が明るくなる。

「…言われてみれば、外で遊んでたほうが楽しいかも…」「そうだね…青空が見えないと、気分も少し曇っちゃうよなぁ…」夢子と桃子もぼんやりと呟く。


「まぁ明日は晴れるさ!この屋内の時間を目一杯楽しもうぜ!」「賛成!」「よーし、何しようかな〜?」

桃子がみんなを励ますように声を上げると、他のみんなの顔もつられて明るくなった。

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