百(ひゃく)の物語

しぇりぃえもん

第1話 鳴り響く魂の響き



【画面】

青空の下、田舎町の古びた高校の校舎。

体育館の中から大音量が響く。


🎵 JUN SKY WALKER(S)「START」

「スタートスタート、これから、はじまる、新しい俺らの、スタートーー!!」


【シーン】

学園祭のステージ。

客席はぎゅうぎゅう詰め、腕を振り上げ、飛び跳ねる高校生たち。

その真ん中で、マイクを握るのは――百。

短髪に制服を着崩したその姿。まだ素朴さが残るけど、声はもう完成していた。


「ヒャクーー!!」

歓声が飛ぶ。

彼は地元のライブハウスにも出演し、既に“ちょっとしたスター”だった。


けれど、田舎には限界があった。

打ち上げ帰りの夜道で、仲間にこう言った。

「俺の歌で、日本一になる!」

夢はいつも口にしていた。


しかし、親は言った。

「どうせ行くなら専門学校くらい入れ」

妥協と反発が交差し、百は東京行きの夜行バスに乗り込んだ。



---


【東京】

カメラは新宿駅の雑踏を映す。

ネオンの海、吐き出される群衆。

18歳の百が、ギターケースを背負って立ち尽くしている。


【BGM】

🎵 PANTERA「Cowboys from Hell」


ライブハウスのスクリーンに映る映像。

ギターが火を噴き、観客が宙を舞う。

モッシュの渦、ヘッドバンギングの津波。


「なにこれ……やべぇ……」

百は息を呑んだ。

胸の奥で、何かが炸裂する。

「決めた。俺、ヘビメタだ!」


次の瞬間、髪は刈り上げられ、モヒカン、金髪。

シャウトする百の姿がフラッシュバックのように重なる。

ステージに飛び出し、叫ぶ。

観客は熱狂し、仲間が自然に集まっていく。



---


【日常の断片】

昼は専門学校。夜は居酒屋のバイト。

その合間にバンド練習とライブ。


🎵 X JAPAN hide「ROCKET DIVE」

「行こうぜ!ロケット・ダイヴ!」

バイトの制服を脱ぎ捨て、ライブハウスに駆け込む百。


🎵 L’Arc〜en〜Ciel「Driver’s High」

新宿の夜を自転車で疾走し、仲間と笑い合う。

「走り出せ、衝動のままに――」


青春が、火花のように散り始めていた。

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百(ひゃく)の物語 しぇりぃえもん @Nami7777

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