星に消えた祈り

月咲椿

序章 祈りと始まり

 夜空には、人々の祈りが煌めいている。

 無数の星々の光は、遠い空の向こうから降り注いで、ノクティア王国の小さな村を柔らかな光で包み込んでいた。

 この星の煌めきは、人々の祈りが星に宿り、叶えようとしている証だという伝承がこの村にはある。

 今から百年ほど前、この世界で唯一の採星師だったノクティオスは、この星の名を「祈り星」と名付けた。


 星による力を持った幼い少女アストラは、丘の上で両手を組み、ひとり祈りを捧げていた。


それは、この村の人々の祈りであった。


 村の人々は少女に祈りを託し、少女は星々に祈りを宿していた。


 遠くの星がキラリと光る。


 流れ星が流れて、どこか遠くの海岸へと落ちた。

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