第23話 マシンガントーク!
「泰平さんが言っていることは本当です。聖王様は確かにそうおっしゃいました。」
と仮面の男は落ち着いた低い声で淡々と言った。
彼のつけている仮面はとても特徴的だった。
仮面は人の顔の造形をしていて、頬は緩やかに持ち上がり、口元には一点の曇りもない、完璧な微笑が刻まれている。
「彼が言うのなら本当なのだろう。」
黄髪は納得したようでうんうんと頷いていた。
「これで来間家の処分についての話は終わりだ。何か質問とかはある?」
泰平さんがそう聞くと俺は手を挙げた。
「隼人くんか、何か気になるところがあるの?」
泰平さんはさっきとは違う、優しい笑顔で俺に尋ねた。
「未来路って確か、魔王と繋がってたんですよね?そんな人にこれからも封印体を任せてもいいんですか?」
俺がそう尋ねると、泰平さんは帳くんに視線を向けた。
「先輩。確か、大丈夫でしたよね?」
「はい。最初は魔王について何も話す気は無さそうで反抗していましたが、彼が隙を見て魔王と連絡を取った際に魔王に捨て駒として扱われていたことを知ったらしく、今では蛇口を捻ったように全て話してくれています。今では反抗の意思はないと考えます。」
帳くんの言葉を聞き、俺は安心した。
「これで未来路くんに反抗の意志は無さそうってわかったかな。ほかに質問ある?」
泰平さんがそう発すると、ハゲおじが素早く手を挙げた。
「ずっと思っていたが、そのガキは誰なんだ!今まで見たことがないぞ。来栖が勝手に連れてきたのか!」
俺を指差しながら、唾を撒き散らしそんな事を言ってきた。
「この子が例の勇者ですよ。事前に知らせてたでしょ。」
泰平さんは冷ややかな顔で答えた。
「君が例の勇者か!私は螟「蟷サ逵溷昇と言う。」
ハゲおじは俺が勇者だと言うことを知ると目の色を変えて、こちらに近づいていた。
というか、ハゲおじは多分自分の名前を言ってるんだろうけど、滑舌が悪くてわからねぇ!
泰平さんはハゲおじを制した。
「今は集会をしているんですよ。座ってください。次は勇者についての話をします。」
泰平さんの言葉を聞き、渋々ハゲおじは自分の席に戻った。
それを確認すると泰平さんはまた話し始めた。
「次に勇者をどうするかの話をしよう。本当は高校を卒業するまで訓練をするのは辞めようと思っていた。でも、勇者の元に魔王の手先が送り込まれてくるなど魔王の動きが活性化している。だから、今からでも訓練をするべきだと僕は思うよ。」
「まず訓練をするなら基礎体力を上げるか、それとも魔法を強化するのかといったところか。」
ハゲおじが初めてらしいことを言った。
「魔王は魔法を駆使する男だ。やはり、魔法を強化するのが先だろう。基礎体力はその後だ。」
黄髪が顎に手を置き、真面目に考えているようなポーズで言った。
「いや、魔法を無効化したあとは肉弾戦となる。基礎体力を上げるのが先だろう。」
青髪が反論した。
なんだか集会っぽくなってきた!
「基礎体力とか魔法を鍛える前に、魔法の効力を測らないといけないんだよね。前回の勇者は自身の半径1メートル以内に入った魔法を無効化する魔法だった。隼人くんは触れると無効化する感じなんだよね。」
泰平さんがそう言うと、ハゲおじは頷き泰平さんに賛同した。
「ふむ。来栖の言う通りだな。まずは魔法の効果範囲や、発動条件を調べるとしよう。それからは基礎体力と魔法どちらを鍛えるのかは悩むところだな。」
「基礎体力と言うのは毎日積み重ねることで得られる物です。どちらも並行して行うというのはどうでしょうか?勇者の体力が持つかは心配ですが。」
青髪がそう言うと、俺に視線が集まった。
「隼人くんは大丈夫?毎日筋トレして、スキマ時間で魔法の練習ってできそう?」
泰平さんが心配そうに俺に尋ねた。
俺はあまり運動が得意ではない。
でも、勇者として頑張りたいし、毎日やれば流石に慣れるだろ!
「大丈夫です!頑張ります!」
俺がそう答えると、みんなは安心した様子で微笑んだ。
「これで集会は終わりなんだけど、僕に提案があるんだいいかな?」
泰平さんがそう言うと、ハゲおじが
「なんだ言ってみろ。」
と威圧的に言い放った。
「魔王の動きが活発になっていることだし、これからの集会は封印体とか仮面さんとかの魔王退治に関係のある人だけってダメかな?」
泰平さんは手を合わせて上目遣いをした。
「ダメに決まってるだろ!何のための集会なんだ!4家全員で意見を出し合うのが集会なんだろ!」
青髪はブチギレていた。
「そうだそうだ!お前は何様なんだよ!聖王様に気に入られてるからっていい気になりやがって!」
黄髪も手を振り上げて怒っていた。
泰平さんは笑顔を保ったまままたマシンガントークを繰り出した。
「うんうん。まずね、4家で話し合うって言うけど君たち言い合いが多い。さっきみたいな醜い言い争いをしているから聖王様が集会に来なくなったんじゃないのかな?あといちいち全員集まるのがめんどくさいんだよ。会場となった家は準備が大変だし、一番遠いところだと何個も県を越えないといけないわけだよ。もう大変だよね。あと僕が聖王様に気に入られていい気になってない。聖王様に命令されて行動しているのに過ぎない。この集会の司会をしているのも命令されたから。好きで司会者やってないんだよねぇ。」
「くっ…。父から譲られた地位でふんぞり返って、聖王様に媚びへつらっているんだろう。」
ハゲおじが苦し紛れにそう言うと、泰平さんはまたマシンガントークで返した。
「僕が聖王様に気に入られているのは、僕が怪異課のリーダーだからだよ。そっちの方で個人的に会う用があるんだ。僕の父も怪異課のリーダーだったから継承してたと思うかもしれないけど違うよ。僕がお父さんの意思を継ぎたくて、自分から怪異課に入って、努力した結果なったんだ。君たちも自分から怪異課に入って頑張っていればきっとなれたよ。それなのに何もしていない分際で、努力した僕を貶してバカにして、何がしたいのかな?君たちも聖王様に気に入られたいなら努力の一つぐらいしてみなよ。」
おじは完全に黙った…。
「うん。じゃあ、賛成してくれたってことでこれからは魔王退治に関係がある人だけが集会に参加するってことでよろしく。」
マシンガントーク強いな…。
「じゃあ、今から自己紹介でもするから関係ない人は帰っていいよ。残るのは封印体と怪異課の人だけでいいよ。」
泰平さんの言葉を聞くとぞろぞろと人が出ていき、部屋には俺たちはを除いて2人しか残らなかった。
あと、後ろの襖にいた仮面さん?が残った。
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