第3話 接触
武器を受け取り、出来栄えを確かめる。重心は真ん中よりも少し、上で長さは全長2,1m。そのうち矛は0.3m。すこし矛が小さいが、長さは丁度よい。持ちてはなんと軸に鉄鋼を入れたジャイアントコークス製。太さは直径7cm。申し分なく、魔物の攻撃にも耐えられそうだ。傷はつくだろうが、たとえホワイトプレテクティオスの噛みつきも刺さることはないだろう。申し分ない代物だった。対価の剣と比べても。「すばらしい矛。作ってくれて感謝している。」
「いや、俺は対価の剣の素晴らしさに惚れ惚れしてその分力が出せたのさ。いい取引だったよ。」
握手を交わして、早速私は草原に向かった。太陽もまた上には来ないというころ、門をでると、カマシマウマの群れが遠目に見えた。昼飯にちょうどいい。草むらから草むらへ息を殺しながら進み、どうやら焦ったか、まだ25mほどあるのに気づかれてしまった。しかし、カマシマウマはこちらにやってきた。ふふふ、都合がいいものだ、と飛びかかってきたカマシマウマに矛を斜めに振り下ろす。足をかすめたが飛び越えられ、後ろ蹴りを攻撃を加えようと振り返った所で柄に放たれる。柄で体制を整えながら着地、噛みつこうとしていたもう一匹に矛先を向けた。掠めたがこれも致命傷には遠く、勢いそのままやつの牙が頭を狙ってくる。柄を首を押すため両手で握り、押し留め、口が目の前でバチンと閉じた。冷や汗が出る。あぶねえええと軽口叩く暇さえなく、うしろからさっきの一体の足が見えた。足さばきよく、膝で股間を守りながら足を横にして開き、一気に胴を蹴り払う。その勢いのまま素早く馬乗り状態を脱出し、噛みつこうとしてきた一匹目を矛で叩き落とす。実に、真っ直ぐな魔物だ。更に足に体重を乗せた両手の薙ぎ払いを見舞い、二体目に体を向け体制を整える。群れが控えていたが、子を守るために引いてくれていたらしい。二体目は逃げてゆき、私も退避し、傷ついたカマシマウマが倒れるのを待った。
草むらに控えて息を整える。無心で警戒を続けていると、、
「ガウゥ!」といる鋭い鳴き声とともにライオンが森へとつながる茂みからかけ出てきた。カマシマウマの一体に襲いかかる。ぁあ、それは俺が戦ったやつだ。しかしそのライオンは鳴き声はすこし甲高く、同情心をくすぐるものだ。私はどうしようかしばし迷ったが、結局譲ることにしたのだった。
・・お腹が空いたと思いながら、そのライオンがシマウマを食べるさまを眺める。前は群れでいたはずだが、追い出されたのだろうか。一定の年齢になると自立し、自分の群れをもつというがそういうことだろうか。しかし、いい食べっぷりだ。俺も今度生食してみようと思いながら、「ふぅ、、、」とため息を付くしかなかった。
しかし、私はこの決断を後悔することになる。空腹に涎が出てきて、そろそろ採取に行こうと動いたその時だった。「グルぁ」と反対側にもライオンがいたのだ。「グルぁ」と二体から威嚇がしあい、危機感が働きすぎて冷や汗がポツポツと顔を伝たる。
ガサッと今度は何だとあのライオンを見ると、後ろから二匹の雌ライオンが洗わていた。これはまずい、3対1で、しかも1のほうが飯食ったばっかだ。俺は決断し、茂みから出た。あいつはどう見てもそこらの青年にしか見えない。そんなやつを見殺しにはできない。矛を構え、腰を落とす。威嚇してくるライオンを睨みつけながら、腰の力を抜き、石を掴み投げつけた。ライオンとの距離はおよそ9mらくらくと避けられた。威嚇は強まる。もう一度投げようと腰を落としかけたとき、動かれた。ズガッ、ズガッとかけてくる。打ち合うために両手でしっかり矛を握り、歩幅は短く、タイミングを伺いながら、近づく。タタタタタ、、ッタッタと矛先がギリギリ当たる距離で全身の力を込めたひとふりを向けると、姿勢を低く防御の姿勢を取りながら勢いろ殺し矛の前でキュッと止まった。即座に足を浮かし、最小の力で目を狙う。シュッと音でも殺すような最低限の動きで避けられた。ククッ、と表情に出せないくらい短く笑って矛の先端の魔法の力を操り矛を伸ばす。グニィと液体のように蠢く矛はライオンの目を人カスリすることに成功した。大した痛みではなく、腕の伸び切った隙を狙い鋭く飛びかかる。体制を低くしても避けきれない。矛を滑るように持ちながら、後ろに倒れ込んだ。ギリギリで直撃を逃れるが両後ろ足で肩を押さえつけられる。
腕を立て、ファイティングポーズを取る。少しだが、できるだけ手を引き、全力で腹部にパンチを放った。「グルォ」と悲鳴が上がる。力が緩み、その隙に体制を立て直す。矛を片手に片足で立ち、その体を横から蹴る。せめて、少しでもダメージを与えないと、飛びかかられてやられる。更に突きを見舞う。大腿に刺さったが、足を引かれ、更にパンチが飛んでくる。矛を引き、地面に突き刺し押し耐える。ギシッと矛がしなり、手首がぐにと押し負けているとわかる。さらに右からの二発目、、は引いて避けきる。かろうじて持っていた矛を膝をてこに勢いをつけ締めに両手で切り上げる。スパッと頬が裂けた。が上頭部にある矛を押しのけ、ライオンの鋭いキバが足に迫る。咄嗟に腰を捻り、回し蹴りを最大の威力で足元にぶん回すとたまたまあたり、少々ダメージを加えたが焼け石に水だった。軸足の大腿をガブッと噛まれる。
もうだめか、、と決死の覚悟で足をやつの口を蹴るつもりで押し、矛を刺すとむしろ引きちぎるように引っ張った。牙がズブっと刺さった大腿はそう簡単にちぎれることもなく、動かない。必死に足を引っ張る。ふと、背のうの三脚を思い出し、取り出し、目に突き立てた。スラリ、と身を低くして交わされ、今だとガブッと再びか見直される。引っ張られる。力もなくなり、矛を手放しそうになっていた。
ああ、もうだめだな、くそこんなことならたくさんご飯を食べてくるんだった。
最後のあがきで脱力し、集中し魔法で片足から両腕へと力を回し、最大の力で足を引っ張り離した。ふっと体が軽くなりそのままあのライオンへと飛んでいった。
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