第一幕 普通に戦っていたら、とんでもない事になったんだが
ー時は、現代。
古い二階建ての一軒家。
その自室の布団の中、トランクス一枚の姿で、高イビキで寝ている一人の少年がいる。
少年は、雪村 秋人(ゆきむら あきと)、17歳。
カーテンの隙間から差し込む、夏の太陽の光が寝ている秋人の顔を照らす。
「うーん……。まだ……眠い……。」
そう寝言を言いながら、寝返りを打った秋人は、ムニュ〜とした柔らかい感触に、目をうっすらと開けた。
秋人の目の前、長い黒髪を乱した、綺麗な顔立ちが見える。
「あ……?……あ〜ん?……!!」
寝惚け眼を手で擦り、再確認をした秋人は驚き、飛び起きる。
秋人の隣、長い黒髪を乱し、黒い着物姿で、手に刀を持った少年が倒れていた。
影龍である。
「な、な、な、何じゃあー!こりゃあー!?」
影龍は、あちこちに傷を負っており、血が流れている。
「おい!俺!早く、目を覚ませ!!お前、まだ寝てんだろ?!」
秋人が一人で騒いでいると、影龍が目を覚ました。
目を覚ました影龍は、秋人を見ると、サッと刀を構える。
「……お主、何奴だ!?」
そう言った影龍に、秋人は、焦って言う。
「何奴だって……それは、俺が聞きたいし!てか、何、それ?刀?本物?」
そう言いながら、秋人は、影龍の構えている刀に、そっと、手を伸ばす。
刀の刃先が指先に触れ、スッと切れると、血が出てきた。
「わぁー!!指切れた!ねぇ!指切れたんだけどー?!」
切れた指先を影龍に見せながら、秋人は喚く。
影龍は、軽く息をつくと、刀を鞘に収める。
「当たり前だ!刃先に指を近付けるバカがいるか……。どれ、見せてみろ。」
そう言うと、影龍は、秋人の手を取り、怪我を見る。
「大した事はござらぬ。こんなもの、舐めれば治る。」
影龍は、そう言って、秋人の指をパクッと、口に食わえた。
「えっ……?えっ?ええーっ?!」
叫び声を上げる秋人に、影龍は、呆れたように息をつく。
「お主、先程から騒がしいぞ。少しは、落ち着いたらどうだ?」
「だ、だ、だって、この状況、どう捉えれば……?」
「知らぬ……。」
影龍は、乱れた髪を整えながら、そう言った。
秋人は、深呼吸をすると、落ち着き、影龍を見つめる。
大人びてはいるが、まだ幼さを残した顔は、とても、綺麗な顔立ちをしていた。
髪を整え、影龍は、秋人に、こう尋ねた。
「ところで、此処は、何処だ?」
「今頃ーーー?!?!?!」
秋人は、頭を抱え、布団の上に倒れた。
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