第9話 中出しの懇願と愛の確認
詩織が呟いた感謝の言葉は、俺の心に深く、そして温かく染み渡った。それは、俺が今まで誰からも向けられたことのない、純粋で、絶対的な肯定。俺は、彼女の震える身体を抱きしめる腕に、さらに力を込めた。もはや、言葉は必要なかった。俺たちの間には、欲望だけではない、もっと深く、そして確かな繋がりが生まれていた。
俺はシャワーの蛇口をひねり、流れ落ちる湯を止めた。途端に、バスルームはしんとした静寂に包まれる。その静けさが、これから始まる儀式の荘厳さを際立たせているようだった。俺は、自分の身体を拭くのも忘れ、まず、彼女の濡れた身体を大きなバスタオルで優しく包み込んだ。そして、何のためらいもなく、その華奢な身体を横抱きにする。いわゆる、お姫様抱っこ、というやつだ。
「きゃっ……!?」
詩織が、驚きと羞恥に染まった小さな悲鳴を上げた。俺の首に、細くしなやかな腕が、きゅっと必死に絡みついてくる。その軽さに、俺は驚いた。そして、このか弱い存在を、俺が今、この腕で支えているという事実に、言いようのない高揚感を覚える。彼女の濡れた髪が俺の胸を濡らし、シャンプーの甘い香りが、先ほどよりもさらに濃密に俺の感覚を支配した。
バスルームから部屋へと戻ると、瑠璃が布団の中で、すぅすぅと穏やかな寝息を立てているのが見えた。その無防備な姿は、俺たちの間に流れる、この淫靡で切迫した空気とは、あまりにも不釣り合いだった。俺は、瑠璃が眠る布団の隣に、もう一枚用意してあった布団へと、詩織の身体をゆっくりと降ろす。
彼女の身体が布団に沈み込むのを見届けて、俺は、いよいよ、その隣に自分の身体を横たえようとした。その時だった。
「あ、あの……柊くん……」
詩織が、俺の服の裾を、おずおずと掴んだ。その潤んだ瞳が、何かを訴えるように、俺と、そして、眠っている瑠璃の姿を交互に見つめている。
「その……お願いがあるんだけど……。先に、瑠璃ちゃんにも、ぎゅっ、てしてあげてください……。瑠璃ちゃんも、すごく怖かったと思うから……」
その言葉に、俺は虚を突かれた。この、極限とも言える状況の中で、彼女は、自分のことよりも先に、友人のことを気遣っている。その健気さに、俺は胸を打たれた。ああ、そうか。この子はずっとこうだったのだ。自分のことよりも、常に他者を優先する。その優しさ、その純粋さ。俺が高校の時に助けた、あの時のまま。
俺は、彼女の言葉に黙って頷くと、眠っている瑠璃の布団のそばに膝をついた。そして、彼女を起こさないように、そっと、その肩を優しく抱きしめる。温かい体温が、服越しに伝わってきた。それは、詩織への配慮であり、そして、俺自身の気持ちを整理するための、短い儀式でもあった。
俺は、再び詩織の隣に戻り、今度こそ、彼女の身体に覆いかぶさった。見下ろす俺の瞳を、彼女は、まっすぐに受け止める。その瞳には、もはや一片の迷いもなかった。俺は、枕元に置いておいた、コンビニの袋に手を伸ばす。その中に入っているはずの、小さな四角い箱を取り出すために。
だが、俺の手がそれに触れるよりも早く、詩織の小さな手が、俺の手を、そっと制した。
「待って……」
俺が驚いて彼女の顔を見ると、彼女は、頬を真っ赤に染めながらも、決して目を逸らさずに、こう言ったのだ。
「あのね……お願い……。最初の、一回だけでいいから……。コンドーム、無しで……してほしい、です……」
その言葉が、雷鳴のように俺の頭を打ち抜いた。驚きと、興奮と、そして、どうしようもないほどの愛おしさが、一気に全身を駆け巡る。この、清楚で、純粋なお嬢様が、俺に、生での挿入を、その処女の身体への、無防備な侵入を、自ら懇願している。
「私……ずっと、柊くんに憧れてたから……。私の初めては、全部、ありのままの柊くんに、受け取ってほしいの……」
彼女は、自らの「お嬢様」という立場、社会的な規範、その全てを捨てて、ただの「雌」として、俺に全てを捧げようとしていた。その健気な覚悟に、俺の下腹部で猛っていた欲望が、もはや制御不可能なほどの熱量を持って、硬く、張り詰めていくのが分かった。俺は、この、あまりにも健気で、愛おしい少女を、俺の全てで満たしてやりたいと、心の底から、そう思った。
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