またお話しが生まれますように

ふみその礼

第1話 ころん


つかれて つかれて

ねむくて ねむくて


さなぎは 生まれるのを わすれた

そのまま あきがきて あきがきて

さなぎは ころんになってしまった


もうさむい風が吹くのをまつばかり

でも いっぴきのねこちゃんがきた


とても おなかがすいていたけれど

このころんは たべるものじゃない

なにか大切な ころんだとおもった


だからねこちゃんはころんをだいて

あたためた そしてかんじていたよ

じぶんのむねのなかにとてもとても

あたたかい思いが生まれてくること


きみに会いたいな

きみに会いたい

きみに会いたい


いくにちも暖かい日

寒い日がすぎたころ


ころんがすこしずつ

かたくなり われた


そしてねこちゃんのまえに

やわらかいせなかをみせた

すこしずつ羽根をのばして


ねこちゃんがふわり作ってくれた

かげにまもられて羽根をかわかし


秋のちょうちょになったよ


きみはちょうちょさんだったんだね


ねこさんありがとう 待ってくれて

わたしはもうとても疲れてしまって

生まれたくないなんて おもってた

でもねこさんが待ってくれてるのを

感じていたから生まれたくなったの


ぼくもきみに会えてうれしいよ

待っていてほんとうによかった


そしてきみは教えてくれた

だれかのことを思うことが

待っていることがこんなに

あたたかいことなんだって

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