幼馴染がヤバいバイトを始めてしまった

猫の集会

それは…

 寒い…

 

 

 さっきまで…いや寝る前まで夏だったのに、今は冬なんじゃね⁉︎ってくらい寒い。

 

 

 寝る前オレは、エアコンをつけてタイマーセットして寝た。

 

 エアコンがまだついてるのかなって思い、エアコンをみるも、消えている。

 

 じゃあ、なんでこんなに寒いんだ?

 

 寒い寒いと震えて凍死する寸前で寝落ち。

 

 いや、ここ部屋だし凍死とか普通ありえないんですけど、でも寒い…

 

 

 寝ぼけたオレは、落っこちてしまったであろう布団を引っ張り、ぬくぬくした。

 

 それにしても重い布団だったぜ。

 

 でも、頑張って持ち上げた甲斐があったってもんです。

 

 めっちゃあったかい。

 

 やっぱり、この人肌温度が一番いいんよ。

 

 なんなら、この石鹸かおる風味…ってさ…

 

 なんで布団が人肌なん?

 

 そして柔軟剤じゃなくて石鹸⁇

 

 オレは…オレはどうかしてしまったのか?

 

 まて‼︎

 

 ガバッと目をあけると…

 

 

「うわぁっ‼︎バカ未玖みくー⁉︎」

 

 オレのすぐ真横に未玖が寝ていた…

 

 いや、寝てるって言うか…なんか…オレが未玖をめっちゃ抱きしめていた。

 

「バカ未玖とは失礼な」

「いや、そこはあってるだろ」

「まぁ、そうね。それより…」

 

 未玖の視線で色々察したオレは、慌てて未玖から離れた。

 

「あの…ご、ごめんなさい」

 ベッドで正座をして、未玖に謝った。

 

「…いいわよ。寝ぼけてたんでしょ?まぁ、いきなり引っ張られた時はびっくりしたけど、許してあげる。そのかわり、明日提出のノートみせて欲しいの」

 

 …

「ノート?」

「…そう。実は昨日、うっかり授業中寝てて…」

「ギャハハ、寝ぼけてるよりヤベーな」

 

 キッとオレを睨む未玖。

 

「あ…すみません。ノートですね。い、今お持ちします」

 

 未玖は、見た目は清楚系女子だ。

 

 でも、実は中身オッサンなんじゃねーかってオレは、常日頃思っている。

 

 だって…

 

 まず座り方がオッサンなんだよねえ…

 

 学校では、一応ちゃんとしてるつもりなんだろうけど…オレは知っている。

 

 授業中、上靴を脱いでいたり居眠りしていること。

 

 でも、他の人は気づかないんだ。

 

 なんせ、姿勢がいいし…髪の毛で眠い時は目を上手に覆ってるから。

 

 必殺居眠り女‼︎とオレはこっそり呼んでいる。

 

 

 そんな居眠り女とオレは、幼馴染で同じクラスだ。

 

 居眠り女未玖は、しょっちゅうオレの部屋に来る。

 

 ノートを写しに。

 

 だから…オレは、ほぼ未玖のために授業を寝ないで、ノートとりに専念するのだ。

 

 おかげで、成績はいい!

 

 そこは、感謝だ。

 

「あ、オレ午後から約束あったんだ」

「え?だれと?」

柚木斗ゆきと

 

 …

 

 しばらく沈黙した未玖は、

「さっき…抱きしめてきたことは、誰にも言わないであげる」

 と、いきなり神妙な面持ちで言ってきた。

 

 

「あー、それはどうも」

「じゃ、わたしもパートナーたちに会いに行くから帰るー」

 と、部屋を出ようとした。

 

「待て、パートナーだと?」

「え、うん。さっき秀和ひでかずにハグされたから、もっとハグしてもらいたくなった。じゃ」

 って、ノートを持って帰ってしまった。

 

「あ…そっち、オレのノート…」

 って、そんなのどうでもいい‼︎

 

 パートナー⁉︎

 

 パートナーだと?

 ハグだと?

 

 許さん…

 

 いつのまに彼氏なんぞ…

 

 オレは、ずっと未玖が大好きだっていうのに…

 

 告白しないまま、フラれたやんけ‼︎

 

 てかさ、パートナーたち《・・》って言わなかった⁇

 

 えっ?

 

 未玖…

 

 変な活動してないよね?

 

 大丈夫なんだよね?

 

 最近バイト始めたとか言ってましたよね?

 

 なんのバイト⁇

 

 

 オレは慌てて未玖のところへ向かった。

 

 めっちゃ走った。

 

 隣の家まで…

 

 

「未玖‼︎」

 

 部屋のドアを勢いよくあけると、下着姿の未玖がいた。

 

「あ…」

 

 オレは、慌ててドアをしめた。

 

 少しして、未玖がドアをあけてくれた。

 

 何事もなかったかのように、なに?って言って。

 

 下着姿見られたけど、全くどうじないんだ?

 

 

「あー、いや…ノート…そっちオレの。」

「あ、ごめん。」

 オレのノートを返してくれた。

 

 よかった〜って、そっちじゃない‼︎

 

「未玖…バイトってさ…」

「うん、今からバイト。時間ないからもう行かなきゃ。ノートありがとうね」

 

 未玖は、かわいい洋服で出かけてしまった。

 

 

 バイト?今から?

 

 だって…

 

 バイトって、バイトでハグするの⁇

 

 おはようございますの挨拶のかわりに、ハグ?

 

 なの⁇

 

 どんなバイト始めた⁉︎

 

 

 オレは、未玖の帰りをじっと待った。

 

 待てのできるお利口さん。

 

 …

 

 

 夕方、未玖がようやく帰ってきた。

 

「あれ?秀和…出かけたんじゃないの?」

「断ったに決まってんだろ」

「なんで?わたしの下着みたから?興奮して動けなくなった?」

「ちっ、違うだろ。てか…バイト…どんなバイトなの?」

「え?バイト?もうさ、夢の国って感じだよ?みんな乗ってるときは、いい笑顔でさぁ。わたしも乗りたいってなるし、ハグも自らみんな笑顔で寄ってきてくれてさぁ、おててにぎにぎとかキュンってするから、お礼にチュウしてあげたりさ」

 

 …

 

 のる?ハグ?

 

 のったりハグしたり?おててにぎにぎにチュウ⁇

 

 

「やめろよ、そんなバイト」

「え?なんで?」

「ヤバいだろ。そんなに金欲しいか?」

「うん、欲しい」

 

 …

 

「なんで…そんなに金に困ってんのかよ⁈」

「まぁ、そこまでじゃないけど…バイト楽しいし」

「楽しいの⁈キモ」

「え、ひどい…ちゃんと終わったら拭いてるし…衛生的に問題ないよ?」

 

 …

 

 終わった…

 

 未玖の転落人生…

 

「未玖…どうしちまったんだよ…⁉︎」

「え、どうもしてないよ?」

 

 

 …

 

「なんで…なんで…だよ」

「逆に、なによ?」

「オレ…未玖には、汚れて欲しくない。お金欲しいなら、オレがバイトするし…だから、未玖…そのバイト辞めてください」

「なんで?ちょくせつじゃないし、消毒もしてるってば。てか、そんな汚れた言い方失礼すぎるって」

「だって…好きなんだよ!オレ未玖が好きだから、聞いてて辛いんだ」

「え…でも由妃ゆきは?本当は今日、由妃とデートだったんでしょ?二股?」

「由妃?だれだよ?」

「クラス違うけど、二組の由妃と付き合ってるんじゃないの?だから、わたしショックで…バイト先でいっぱいハグしてさみしさを埋めてきたのに」

「由妃じゃなくて、柚木斗な」

「あー…」

「あーって…そんなんでヤケクソになってそんなことしたの?」

「うん」

「マジかよ…なら、勘違いだったんだから、もう寂しくないよな?ハグならオレがいつでもするから。」

 

 未玖を抱きしめた。

 

「そんなに独占欲強いって知らなかった」

「普通だよ」

「そっか。でも、みーくん辞めたばっかりだから、しーちゃん辞めたくないんだけど…でも、そんなにいうなら遊園地の着ぐるみバイトやめるよ」

 

 

 ⁈

 

「えっ?着ぐるみ⁉︎」

「そうだけど…」

「あー、そ…そういうことね…」

「…もしかして、いやらしいこと考えてたの?」

「はい…」

「なんだ、なら一緒にバイトしない?みーくんの中の人辞めちゃったから、だれか探してたんだ。そしたら、帰りに遊園地デートたくさんしよ?あ、わたし、しーちゃん被ってまーす」

「じゃあ、オレがみーくんになります‼︎しーちゃんとは、どういう関係?」

「一応、カップルなのかな?たぶん」

「え、じゃあみーくんと今まで被り物イチャイチャしてたの?」

「中身女の人だったから気にしなかった」

「なるほどな、ならこれからは、被り物しながらもイチャイチャできるんだね!よろしくしーちゃん♡」

「よろしく、みーくん♡」

 

 まだ被り物をしていないのに、イチャイチャが家の前で堂々と始まったのであります。

 

 

 

 

 おしまい♡

 

 

 

 

 

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