カフェでおしゃべり 2

(二人はカフェのテーブルを挟んで向かい合っている)

(アイスコーヒーを一口吸う)


「そして、私は小学生になった」

(静かに話し始める)


「晴れの日は公園で一緒に遊んで、雨の日はお家で一緒に過ごすのは変わらないけど、3人が4人になった。私たち4人一緒」


「お互いのお家に遊びに行ったし、ご飯を4人一緒に食べた。お家は別でも、意識の中では君は私たちの末っ子。4人一緒に遊んだ」


「4人で街を探検、まあ、近所だけど。夏はプール、花火大会。冬は4人でコタツを囲む」


「いろいろなことがあった。私たち4人の誰かの誕生日は、お母さんたちと一緒にケーキを買いに行って、楽しいバースデイパーティー」

(記憶の中から思い出を掬い上げる)


「ああ、どんどん思い出して来ちゃう。アイドルごっこ。このあたりからは君も覚えてるかな?」

(思い出したという風に話す)


「テレビでアイドルを観ているだけじゃなくて、私たち姉妹3人、アイドルの真似をして歌って、踊って、君がそれを観ているって、そういうごっこ遊び」

(楽しそうに笑って話す)


「それでさ、いつだったか、姉妹3人でセンターを巡って、珍しく激しいケンカになっちゃって」


「『けんかしちゃだめだよ……。なかよくして……』って君を泣かせちゃったっけ」

(小さい頃の『君』の話し方の真似を交えて話す)


「それを見て、姉妹3人、悪いことをしちゃったって思って、『ごめんね。わたしたち、なかよくするから』『もうケンカしないから、なかよしさんになるから』『なかないで』って、君をぎゅーってして……」

(小さい頃の姉妹の話し方の真似を交えて話す)


「だけど、3人で抱きついたせいか、君、ちょっと苦しかったみたいで手足をジタバタさせて……。はい、あの時のケンカとハグは反省しております」

(頭を下げる)


「でも、アイドルごっこ、楽しかったなあ。4人それぞれノリノリで」

(懐かしそうに話す)


「お家でも、お外でも。なんかご近所さんたちも面白がって、街の名物みたいになっちゃって、今でも語り草になってるし」


「そうそう、あの頃のアイドルごっこ、うちのお母さんが撮ってた動画あるけど、今度観に来る? 君も映ってるよ? 可愛いよ?」


「そして、君も小学生。そう、小学校に上がるまでにって頑張った、自転車!」

(声を弾ませる)


「もう妹も補助輪なしで乗れるようになっていたから、最後は君の番。君も公園で練習した。君をふたつの家族みんなで応援した」


「小学校に上る前に君も補助輪なしで自転車に乗れるようになった。ついに4人とも乗れるようになった」


「4人で自転車でお出かけしたよね。小さかったから、そんな遠くには行けなかったけど」

(楽しそうに話す)


「それと、君は小学生になってから本をよく読む子になったよね」


「私より小さいのにいろいろなことを覚えてさ。読んだ本のいろいろなお話ししてくれてさ。あの頃も結構感心してたんだよー」


「でも……。君が小学生になって、学校に男の子の友達ができて……、学年も違うし、少しずつ距離ができてきたんだよね……」

(当時を思い出した風で少し寂し気な声になる)


「自転車で遊びに行くのも、君は学校のお友達と行くことの方が多くなって……」

(ストローでグラスをかき回す)


「親同士はすごく仲が良かったから、お家同士のつきあいは変わらずに続いていて、関係が完全に切れたわけじゃないけど、4人一緒に過ごすことは少なくなってきて……」


「私、実はちょっと寂しかったんだよね。4人だったのが3人に戻ってきた。元に戻っただけって言えるのかもしれないけど、寂しかった。生活に味がなくなった」

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