異世界転生者のエピローグ〜闇堕ち英雄と時の姫〜

右野鐘

第1章 英雄譚の終焉

プロローグ

 ――その物語は、英雄譚の“終焉”から始まる。


 かつてこの世界は、魔物の群れにより滅びの影に覆われていた。

 絶望に追い詰められた人々を救ったのは、“転生者”と呼ばれる存在だった。


 仲間と共に剣を取り、幾千の犠牲を払い――

 ついに、闇を討ち払った。


 世界に黎明れいめいをもたらしたその戦いは、

 今もなお、英雄譚として語り継がれている。


 ……だが、平和は長くは続かなかった。


 世界を再び破滅へ導いたのは――

 他ならぬ、“英雄”自身だった。


 かつて闇を討ったその手が、

 今度は世界を闇へ沈めていく。


 滅びの輪廻は、再び廻り出す。


 ◇ ◇ ◇


 そして運命は、一人の少女へと委ねられる。

 騎士を夢見る少女、ティナ・クロード。


 その瞳はやがて、“英雄の真実”を映し出すだろう。


 物語は、平和の陽光に包まれた王国――

 《王国祭》の前日から静かに幕を開ける。


 それは、すべてを変える一日へと繋がっていく。


 ◇ ◇ ◇

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