この作品の主人公であり、探偵役のルーシー・アシュフォードは、孤児院出身の十六歳の少女である。
彼女は、およそ探偵らしい偏屈さも、皮肉も、持ち合わせてはいない。
無垢な少女のまま、探偵を営んでいるのだ。
そんなルーシーに代わって(?)偏屈なのは、理髪師のアーロンだ。
彼は、孤児院からルーシーを拾い、生活の面倒を見ながら、彼女を探偵という職につかせた。
そんな二人は、望むと望まざるとにかかわらず、事件に巻き込まれる。
そしてその事件にはいつも、ある手紙が関係している――
本作の魅力は、やはり少女の視点から描かれる事件の顛末だろう。
事件が起こる背景には、必ず人の苦しみがある。
ルーシーはそれらを、彼女らしい哲学で包み込む。
ぜひあなたも少女探偵の視野を通して、事件を追ってみてほしい。