第2話
颯爽と現れたカイルの襲撃に残った四人のストレンジャーは皆焦りを見せていた。
「エクシード・チルドレンだと!?」
「こいつが噂の…。」
「仲間が一瞬にして…。」
「慌てるな。俺達は露や日の本の奴らとは違うのだ!」
四人は気を取り直し、西洋の剣や槍を手にカイルを囲む。
「見せてやるぞ!欧土のストレンジャーの力を!」
四人のストレンジャーは旋回しながら走りだし、目にも止まらぬスピードで斬撃をカイルに放ってきた。
四方八方から繰り出される剣、槍、鎌、鉄爪にカイルは手出し出来ずにいる。
「ギャハハ!俺達の統率の取れた戦法に手出し出来まい!」
「エクシード・チルドレンなど恐るるに足りんわ!」
地上から空中、空中から地上と目まぐるしく立ち回る四人の猛攻。
遂には鉄爪が彼の肩を掠めて行った。
「今さら負けを認めても遅いぞ!我が同士を爆殺した貴様を生かしては帰さん!」
「ここで我らに調理されるのだ!」
整列した四人は得意気に笑い声を上げるが、カイルは肩を流れる血を拭いながら構えた。
「その台詞はお前達にそっくり返そう。今のでだいたいお前達のパターンが分かったんでな…。」
「な、何!?くだらぬ強がりを言いやがって…。」
「構わねぇ…八つ裂きにしてやろうぜ!」
四人は再び高速でカイルの周囲を旋回し、一斉に斬撃を放ったが、カイルは一瞬にして消えてかわし、剣を持つストレンジャーの首筋に指を突き立てた。
指先から伝わるカイルのエクシードエネルギーがストレンジャーの体に伝わっていく。
「バースト・チャージ完了…。」
カイルが指を引き抜くと、ストレンジャーは発光して爆散した。
「ゲッ!?こいつ…よくも!」
「ぶっ殺せ!」
残る三人は構わずカイルに襲い掛かるが、流れるような体裁きでカイルはそれぞれの武器をかわしながら一人に拳、もう一人に蹴りからバースト・チャージを加え、爆破した。
「ヒッ!な、何て野郎だ…。」
残る鉄爪のストレンジャーは、カイルの力に恐れを成し、その場から逃げようとする。
「ストレンジャーは一匹足りとも生かしては帰さん…。」
カイルは高速でストレンジャーの前に回り込み、青白く光る鉄拳を喰らわした。
「ぐぎゃっ!」
ストレンジャーは数十メートルまで吹っ飛ばされていくが、彼は爆死する事なく慌ててその場から退散する。
「げ、ゲヘヘ…あ、甘いな…。今の一撃で仕留めてられぬとはな…。このままでは済まさんぞ!トライダー様が必ずお前を処刑するだろう!」
ストレンジャーはそのまま高速で姿を消した。
「言ったはずだ…。ストレンジャーは一匹も逃がさんとな…。」
カイルはひとりごちると、ストレンジャー達に狙われていた女性達を保護する。
「有難うございます…。」
「エクシード・チルドレン様…どうか私達の町をストレンジャーから救ってください…。」
懇願する女性達にカイルは問い掛ける。
「露の大陸のストレンジャーの精鋭と思われる者達は、殆ど日の本で倒した筈だが…。」
「露の大陸より更に西方…欧土と呼ばれる大陸から新たなストレンジャーが攻めて来たのです。」
「欧土?さっきの奴らもそう言っていたな…。」
「ご存知の通り、ストレンジャーは今や人類以上にその数を増やしています…。露や日の本以外にも彼らは繁殖している…。」
「まだまだ俺達の戦いは終わりを見ないと言うわけか…。」
「エクシード・チルドレン様…さっきのストレンジャー達を統率するのは欧土の英雄と呼ばれるストレンジャーの一人、トライダーと言う者です。」
「トライダーは露の大陸に進軍し、町の人々を奴隷として制圧しております…。」
「分かった…。やがてそのトライダーには宣戦布告が成されるはず…。必ず君達の町を解放しよう。」
カイルが彼女達を保護する一方、カイルの手から逃れた鉄爪のストレンジャーは、町の砦に君臨する銀の甲冑とマントを羽織ったトライダーの元に帰還する。
「トライダー様!エクシード・チルドレンが…再び露の大陸に現れました!」
「貴様?何故体が光っておる?」
トライダーは、青白く光るストレンジャーに警戒を示す。
「え?ま、まさかあの時!?あいつ…アバボッ!」
ストレンジャーは爆死し、トライダーはそれが自分に当てられたカイルからの宣戦布告だと察した。
「くっ、味な真似を…。だが、このトライダーはそう簡単には行かぬぞ…。」
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