39皿目 仲良し3人組。

 「ねぇ〜、パッパァ〜ン」

 舌っ足らずのイタリア人が言うような甘ったるい口調で呼ばれた。花子がこんな風に呼ぶ時はお願いごとがある時だ。

「ねぇ、プァッパァ〜ン、ディズニーランドにはいつ行くのぉ」

 我が家は毎年7月の第2日曜日にTDLに行く。天候の具合もあるだろうが、毎年この日は日曜日とは思えない程空いているのだ。ただ、去年は行けなかった。

「ねぇ プァップァ〜ン!みんな行きたいって言っているよ〜」

 花子の言う『みんな』とは一体誰の事を指すのだろう。私は聞いてみた。娘は指折り数えながら答えた。

「花ちゃんとぉ、お兄ぃちゃんとぉ、お母ぁさん」

 ほほう。なるほどな。いつもの仲良し3人組だな。お前達は忘れてしまったかも知れないけどな、とーさんはしっかり覚えているんだぞ。お前達は、とーさんを置いて、3人で、映画を見に行ったろう。そうだ『クレヨンしんちゃん』だ。そうか、思い出したか。ならば、もうひとつ聞くがな、『みんな』の中にとーさんは入ってないのかい? えっ?入ってる?そうか、そりゃ、そうだろうな。ディズニーランドには、とーさんが不可欠だからな。

 開門と同時にダッシュして、人気のランチショーの予約を取りに行くのは、とーさんしかいないものな。たくさんのお父さん達が、同じ方向に向かって走っているんだ。とーさんは抜かれたりしないんだぞ。待ち時間の合間、合間に、人気アトラクションのファストパスを取りにランド中を駆け巡るのは、とーさんしかいないものな。そう。とーさんは仲良し3人組とは別行動になる事が多いからな。はぐれてしまって、うまく合流できるか不安になっているとーさんなんて、想像できないだろう。ケータイ鳴らしても、3人組はアトラクションをお楽しみ中だったり。

 パレード待ちの時にファストパスを取りに行った。人気アトラクション探してまわり、なんとかゲット。早く知らせたくて、急いでみんなの所に戻ろうと思ったら、直前でパレードが到着して通行止め。目を輝かせながらパレードに手を振る仲良し3人組を通りの反対側から見ていたよ。お前達はとーさんに気がつかなかったね。しかたがないから遠回りして戻ったら、もうポップコーンは残ってなかった。知っているかい?カレー味は並ぶんだよ。

 わかっているよ。とーさんは自分の役回りを理解している。

 花子や。「みんな行きたいって言っているよ」おまえはそう言ったね。そして、『みんな』の中にとーさんも入っているとも言ったね。果たして、そうかな?

 分かっているよ。母さんが言い出したんだろう。いいだろう。計画を立てよう。とーさんはいつもの役回りだ。

 いいかい、花子や。とーさんは別だから。仲良し3人組とは違うんだ。とーさんはね、みんなの笑顔が見たくて走るんだ。

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