踊り場の王国

木内 海

踊り場の王国

火をつけた同級生はもういない僕らの町に焼け野原あり


百合の蝉の波のシロップのひかり誰も盛れない逆光の夏


唐突に無視が終わった火曜だった音楽室に茹でてある蟹


ヴォルフガングこれは父からアマデウスこれは母から 二つの呪い


みずうみを走り続ける出逢うまで 凍る点P 燃える点Q


金色に染まる校庭だれひとりこの窓を知らぬぼくだけの窓


おさがりの火おさがりの死おさがりの筆箱落ちてマイメロのペン


放課後の風は遠くて重ね塗る親子丼の絵のなかの群青


陽に褪せた世界名作全集のプロメテウスの永遠の傷


この星のあなた以外とあなたとを天秤にかけ分銅を足す

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

踊り場の王国 木内 海 @whalefalls

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画